金融資本は、金融資本から投融資を受けた側に土地を当該金融資本に売却させ、金銭債務を弁済した段階で土地を金銭債務者は買い戻すことができるという契約をすることがある。

[事実関係]

代物弁済による資産の取得価額について、「代物弁済によって取得した不動産の価額は、原則としてその取得時における価額、すなわち時価によるべきであるが、代物弁済時における時価の算定が客観的に容易でないときは、貸付契約時の時価が貸付金額以上であることが認められるから、当該貸付契約による貸付金額又は買戻金額をもって担保不動産の取得価額としても不当とはいえない」としたものがある(東京地判昭和46年12月20日)。

[解説]

資本関係からすれば、金銭債務者に貸し付けた金銭を源泉に、貸付や生産手段の購入を行わせ、労働を疎外し、疎外した労働を資本に転嫁した過程を経た留保現金を所有することとなるから、貸付債権は弁済段階における市場価額である。

中央銀行を所有する民間金融機関の所有に基づく実体関係から、弁済段階での担保資産の市場価額が貸付債権金額である。他の経済実体の現金留保に応じて留保現金を変動させないと他の経済実体が中央銀行を所有する民間金融機関を所有できてしまうという実体関係が存在するのである。

疎外された労働の転嫁された資産と引換に架空資本たる現金商品を得た段階で、現金に価値属性が中央銀行を所有する民間金融機関の所有を土台とする実体関係から付与せざるを得ない。

しかし、証券取引所を所有し、市場価額を規定し実体として認めさせる金融資本が弁済段階に市場価額を規定せずに、司法は実体のない観念に基づいて市場価額を規定することが容易でないとして、金融資本が、中央銀行を所有する民間金融機関の所有に基づく実体関係から、貸付段階における貸付金額又は買戻価額で差し支えないとしたのである。