[事実関係]

補償金による仮工場の取得価額につき、下記のような事例がある。

市が施行した下水道工事に起因して作業能率が低下し、それにより収受した補償金で仮工場を取得したが、当該補償金は機械作業能率ぼ著しい低下を復旧させるため、一時的に取得する仮工場の建設費に主眼が置かれて支払われたものであるから、仮工場の建設費の取得価額の内、当該補償金(経費補償に係るものを除く。)の金額までの部分は、実質的には、機能復旧のための支出であって、法人税法施行令132条に規定する資本的支出には当たらず、損金算入することができる。

(昭和59年3月22日裁決)。

[解説]

市を所有し雇用する金融資本が施行した工事が原因であっても、産業法人の資本は、資本関係から工場を再取得して投融資を受けざるを得ない。

工場を取得した当初の資本転嫁の過程を再現せざるを得ない。

市の名義で施行した下水道工事が原因となって、工場を生産手段にして貸与して労働を疎外して疎外した労働を資本に転嫁する量が減少し、工場に投融資された当初の生産手段の貸与、疎外労働の資本への転嫁の量まで現実に回復させたのであれば、当初の資本への転嫁までの過程における資本増殖量までを限度に修繕費となると解されるであろう。