[事実関係]

鉄筋コンクリート造りの店舗共同住宅の外壁等の補修工事について、下記のような裁判例がある。

「資本的支出と修繕費の区分は、支出金額の多寡によるのではなく、その実質によって判定するものと解されるところ、

本件建物の外壁等の補修工事の内、外壁等への樹脂の注入工事等は建物全体にされたものではなく、

また、塗装工事等は建物の通常の維持又は管理に必要な修繕そのものか、その範疇に属するものであるから、これらに要した費用は修繕費とするのが相当である。

また、外壁塗装防水美装工事は、補修工事に伴う美装工事であって、塗装材として特別に上質な材料を用いたものではないことが認められるから、これに要した費用も修繕費とするのが相当である。

(平成元年10月6日裁決)

[解説]

米国では改修部分が資産の重要な部分を構成しているか否かによって修繕費か否かを規定しているが(Borris bittker,Federal taxation of income,estate,gifts,S105A-62)、金融資本の中央銀行の所有実体、金融資本との資本関係から、当該資産が生産手段として貸与されていて、疎外された労働が資本に転嫁される過程において、資本への転嫁量に応じて交換、補修をせざるを得ず、それによって資本の転嫁が増大、延長したかが資産の重要な部分を構成しているかの基礎となると解されるであろう。

資本関係、経済関係、労働力の維持という生産関係に基づく現金留保義務から生産手段にして貸与された資産の修繕を行わざるを得ず、当初よりも、疎外された労働が固定資本に転嫁される割合や数量が増大したり資本へ転嫁する過程が延長したりするものでなければ、修繕費ということになる。