法人が他に賃貸している建物の室外に階段を設置し、避難階段とした場合には、建築基準法により避難階段の設置が義務づけられてはいるが、現実においては、生産過程において使用すること、すなわち賃借している経済実体に生産手段にして貸与し、疎外した労働を資本に転嫁している。資本関係を土台に、労働力商品の生存義務に基づき設置し、建物を賃借している経済実体の労働力の使用を延長しているから、階段の設置費用は資本的支出となる。階段の使用による生産労働の過程の短縮により、疎外された労働の建物に転嫁される割合、生産労働以外の労働の延長により資本に転嫁される割合が増大する。疎外された労働が資本に転嫁される回数が増える。階段の設置費用は、資本と税務行政機関の生産関係を規定した法人税基本通達7-8ー1に資本的支出として例示されている。階段の設置に要した材料、労働と引き換えに支出した金銭は、建物として減価償却することを余儀なくされる。