法人税の課税実務上においては、固定資産について、その使用を廃止し、今後通常の方法により、事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産、特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の使用状況等からみて明らかなものについては、当該資産につき、解撤、破砕、廃棄等をしていない場合であっても、当該資産の帳簿価額からその処分見込価額を控除した金額を除却損として損金の額に算入することができるものとするとされている(法基通7-7-2)。
固定資産には使用価値は備わっていない。「特定の製品の生産のために専用」というのは、目的だけでは実体のない観念であるから、当該製品の完成したか否かではなく、現実に当該固定資本を生産手段にして貸与し、労働を疎外したという実績が必要となると解される。上記通達にいう「今後」とは、現在から継続するという将来という過程であり、「将来」は、必ずしも、現在とは継続していない場合も含まれるのであって、「今後」も「将来」も実体のない観念である。既に資本関係があれば、担保名目で提供を余儀なくされる架空資本、固定資本をはじめとする資産があって、投融資を受け得る資本関係があれば、固定資本を生産手段にして貸与して労働を疎外し、疎外した労働を固定資本に転嫁し、既存の商品又は別の商品に転嫁することをせざるを得ないから、使用廃止の稟議決定があったとしても、実体のない観念である需要が減ったという主張では、有姿除却は実体がないとして否定されるであろう。