分掌変更を伴う退職給与に関する裁判例を読んで思うところを一度ここで書いておきたいと思う。資本を貸し付け、疎外労働を行わせ、資本増殖を行わせているのは、現実には銀行の資本を含めた資本、更に言えば紙切れの存在である。

同族法人であっても役員は、使用人である。社会には経営者なる階級は存在しない。

退職金算定過程において用いられる功績倍率の土台となる月額給与は、現実の労働に付与された価値ではなく労働力商品の価格である。

同業他社が使用した功績倍率は現象であり、裁判例から導き出された功績倍率の限界値は法則に過ぎないのであって、当該法人の資本との関係において、現実に疎外された労働に付与される価値、疎外労働に付与された価値が退職の段階まで資本に貸し付けられてきたこと、労働力商品に付与された価値は、一定の過程毎に資本に貸し付けられてきたことを踏まえ、

また同族法人の役員については、役員であることをもっては委任関係ということは使用人といことであって、資本が経済上実体上負わなければならない義務は退職金算定とは別個に履行することであって、退職給与算定の過程において相殺することなく、課税側は功績倍率に関する事実確定、評価をしなければならないであろう。

代表取締役退職の段階で付与された金員の評価が、現実の労働に付与された価値を超えた場合の超えた部分の金額は、役員賞与ではなく利益配当ということになるであろう。

代表取締役が退任したことを経済関係のある取引先の資本、労働者が知っていたか否かは実体のない観念であり、資本関係、経済関係によって発言及び発言の根拠を変えることができる。これらの知っていたか否かという観念は、退職金算定過程に関する事実関係の確定の基礎とすることはできないと言わなければならない。

新代表取締役が法人の経済関係、事実関係を知っていたか否かも実体のない観念であって、資本関係、経済関係に応じて知っていたか否かの発言及びその根拠を覆すことができる。

実体関係は経済関係を土台に形成される。登記という法律行為を通じて退職したことを実体あるものと社会に認めさせても、総会決議を否認できるだけの架空資本が付与されている限りは、資本を貸し付けて疎外労働を行わせて資本増殖を行なわせることができる。

使用人を辞めたという事実を実体関係上覆すことはできない。代表取締役退職後、架空資本が付与され続け、労働がないにも関わらず支払われた金員に付与される価値は利益配当ということになるであろう。