[事実関係]

 原告は、昭和61年7月期において、中古車両202台の期末棚卸資産について取得価額の合計額が8,761万円であるのに対して3,924万円として評価を行った。中古自動車販売業を営む原告の法人税について、税務署長は、更正処分を行った。

 裁判所は、

「法人税法29条等の規定は、期末の棚卸資産の価額をあらかじめ選定した評価の方法によって評価しなかった場合には、最終仕入原価法によって算出した取得価額による原価法によってこれを評価すべきことを原則として定め、ただ、その法人が現実に行った評価の方法が、法定の評価方法に該当し、しかも、その評価方法によっても所得の金額の計算を適正に行うことができると認められるときに限って、税務署長がその評価方法によって計算した所得の金額を計算してした所得の金額を基礎として更正処分等の課税処分を行うことができるとの特例を定めている。

本件棚卸資産の評価について、原告の主張するような方法によっても、原告の本件事業年度の所得の金額を適正に行うことができると認められるか否かを検討するに、

原告は、中古自動車を訴外A中古自動車販売協会主催のオークションを通じて、あるいは大手ディーラー、同業者等から仕入れるたびに、1台ごとにその仕入月日、仕入先、型式、グレード、車検、装備、仕入れ価額、業販価額、外装、内装等の車両の内装や特徴に関する項目を記載する箇所のあるチェックリストにそれぞれの内容を記載し、その後車両に何らかの変化があったときにもその新たに判明した事項の内容を右リストに記載し、これに財団法人日本自動車査定協会の定める加減点法によった査定を行い、期末の価額を記入するという方法を採用し、このような取得価額による原価法によって評価した価額と現実の評価額(取得のために通常要する価額)を比較して、いずれか低い方の価額によってその評価を行うという低価法の方法によっているのであるが、

右の原告の主張する評価方法による評価については、本件棚卸資産の期末における客観的な評価額を適正に算定したものといえるかに」、多くの疑問が存在するものといわざるを得ないとし、

本件棚卸資産の期末の評価方法として原告の主張する方法については、法が前記特例規定の適用の要件として定めている「その評価方法によっても所得の金額の計算を適正に行うことができると認められること」の要件を充たしているということは到底困難なものと言わざるを得ず、したがって、このような方法によって本件棚卸資産の期末の評価を行うことはできないことはできないこととなる。本件棚卸資産の期末評価については、法の定める本則に従い、最終仕入原価法によって算出した取得価額による原価法の方法によって、これを行うほかないこととなる」とした(東京地判平成5年1月26日)。

[解説]

 現金、資産には価値属性は備わっていない。棚卸資産の価額は、客観という観念から事実確定されるのではない。適正か否かでなく現実の経済実体に乖離することなく計算できるかによって事実確定が行われる義務がある。

現金、資産は所有しているだけでは現金留保を産まない。産業資本は、国際金融資本との資本関係から現金を投下して既に労働を疎外済みの資産を購入し、資本関係を土台に取得した紙幣発行権が取得できるという実体関係に基づいた、国際金融資本の現金留保、回収義務から規定された市場価額に基づき、生産手段にして、労働を疎外し、疎外した労働を商品に転嫁し、現金留保の蓄積を確定し、現金商品と資産を交換し、現金に価値属性を付与することにより現金留保を実現せざるを得ない。

国際金融資本の現金留保、回収義務により購入段階より低い価値属性が付与され、他の経済実体との経済関係により、店晒しとなり、購入段階より安い金で売らざるを得ず、且つ、国際金融資本との資本関係から、現金留保して利子配当を支払わざるを得ず、労働力商品に売却損を転嫁し、労働力商品と現金を交換し、現金の低い価値属性を付与せざるを得ない。産業資本は金融資本より投融資を受けざるを得ない。

資本関係が促進する。評価方法の否定は、帳簿記載事実の否定であり、事実確定の問題である。現金商品との交換がされていないことから、利子配当の徴収は課税により行われた。