[事実関係]
法人が、当該法人の創業者、元代表者である乙に、社宅を無償で賃貸していたことにつき、税務署長が、税務署長において算出した賃料相当額が、Aらへの経済的利益であると認められ、所得税法28条1項による給与所得に該当するとして源泉所得税納税告知処分、不納付加算税賦課決定処分を行った。
裁判所は、
「課税庁はいわゆる積算法(積算式評価方法)を用いているが、この方法は、賃借料算定のための一方法として一般に是認されているものと認められ、被告がこれを採用したことには合理性があるというべきである」とし、
「本件不動産は、その規模、構造等に照らして類似する賃貸事例はほぼ皆無であると認められるので、賃貸事例比較法は有用とは言えない。積算法による場合、本来、対象不動産の評価の基準となる時点における基礎価格は、その当時の経済価値を反映するものであるから、被告において、十数年前における本件社宅の取得価額をそのまま基礎価格として採用し、本件建物の再調達原価の算定等の復成現価把握を行っていない点は、一般的には相当とは言い難い。
しかし、本件調査においては原告及び乙からの協力が得られず、結果として本社社宅を立ち入り見分する機会もないまま、家屋見取図のみをもとにして賃貸料算出しなければならなかったことに照らすと、被告が取りうる計算方法にもおのずと限界があり、実際の見分等を前提とする復成現価把握を行わなかった点にもやむを得ない面があったといわなければならない。
固定資産評価額は地価公示価格の7割程度を目安として算定された価額であること」に照らして、課税庁が社宅の基礎価額とした金額と適正価格がかけ離れた金額とは言い難い。
本件社宅が原告から役員である乙に貸付けられた資金によって取得されたものと同視できるものとして、所得税基本通達を考慮して5%としたことに合理性があると認められる」とした(松山地判平成15年2月13日)。
[解説]
建物に価値属性は備わっていない。建物は所有しているだけでは現金留保を産み出さない。価値属性は自然発生するものではないし、意思目的によって実現するのではない。
紙幣発行権の取得の土台とした資本関係、資本関係を土台とする実体関係から現金留保義務、回収義務を有する国際金融資本に課せられた現金留保義務、回収義務に基づいて、紙幣発行権を有しない経済実体間の経済関係が疎外され、建物の賃借権には価値属性は付与されず、建物を生産手段にして貸与し、労働を疎外して、疎外した労働を建物に転嫁して、労働力商品の価値属性を疎外して、建物を所有する経済実体は、賃借法人に現金留保を蓄積し、現金商品と現金商品を交換し取得現金に価値属性を付与せざるを得ない。
国際金融資本と生産関係にある課税庁のいう期待利回りも実体のない観念である。担保名目により現実の所有者である国際金融資本に利子配当を支払う。
現金商品との交換により貸与に供される建物に転嫁された搾取利得の引渡義務と取得現金に付与される価値属性は、交換段階における、国際金融資本が有する資本関係、資本関係を土台とする実体関係に基づく現金留保、回収義務から規定された市場価額である。
支払義務の無償部分から、収益が実現したのではない。建物の外観からでは現象面からの問題提起、事実確定になるから、事実確定の全体化はできない。
労働者の現金留保を疎外して現金留保を収奪して国際金融資本に現金留保を集中させ、原子力やエネルギーや戦争に投融資されている過程に鑑みれば、国際金融資本と資本関係、経済上の兄弟関係のある国際金融資本の関係経済実体にはプライバシーは存しない。
それ以外の経済実体については、生産手段を持たない労働者は、労働を疎外され、労働力商品の価値属性を低く付与され、搾取の土台の再生産を余儀なくされており、生活の土台となる現金留保義務から戦争を行うことできないから、その者が生命、生存の土台たる経済を奪わない限り、プライバシーを保護する義務がある。
国際金融資本から投融資を受けた金額が大企業の資本家ほど多くない資本家の場合、社宅の立ち入りはプライバシーの問題が提起される。
査察の規定が包摂される原因事実がない限りは、社宅の立ち入り見分以外の方法により、事実確定の全体化を行うこととならざるを得ない。役員は法人の資本家との間に生産関係がある使用人であり、生活の土台たる現金留保義務に基づいて法人の資本家が投下し、生産手段を貸与して、労働を疎外し、疎外した労働を資産に転嫁することによる現金留保を使用することができないから、資本関係を土台に引き渡した現金に低い価値属性を付与したのである。
よって、市場価額との差額は配当ということになる。法人税課税前の利益から配当は行われていると見ることができるから、資本家に配当課税を行っても二重課税とはならない。