[事実関係]

原告は、電波暗室を耐用年数省令別表第二(機械及び装置の耐用年数表)の268番、すなわち設備の種類「電気計測器、電気通信用機器、電子応用機器又は同部分品(他の号に掲げるものを除く)製造設備」に該当するものとして、耐用年数を10年とし、減価償却額を算定して、青色申告書を使用して確定申告を行った。

税務署長は、電波暗室を建物に分類して建物の耐用年数を適用して更正処分、過少申告加算税の賦課決定処分を行った。

裁判所は、「本件建物の内、本件電波室の設置されている区画は、当初からアンテナ等の性能を測定するため電波暗室を設置することを目的とした工場用の建物であり、温湿度の調整制御、無菌又は無じん空気の汚濁防止、防音、遮光、放射線防御のために工場用に建物に特別な内部造作を設置した場合と同様に、本件建物と本件電波暗室は、アンテナ等の測定するという機能の点からみると一体不可分のものであって、本件電波暗室が設置されたことにより、アンテナ等の開発・製造のためアンテナ等の性能を測定することを用途とする工場用の建物である本件建物に同用途に即した客観的な便益が与えられたというべきである。

そして、本件電波暗室は、本件建物から独立して存在することは経済的に不可能であり、物理的にも本件建物と一体のものであって、あたかも本件建物の部屋として本件建物の一部を構成しているものである。

さらに、本件電波暗室がアンテナ等の電気的性能を測定するために重要かつ不可欠な役割を果たしているからといって、それが機械及び装置に該当するということはできない。また、耐用年数省令別表第一に種類「建物附属設備」の構造又は用途として規定された「電気設備(照明設備を含む。)」、「給排水又は衛生設備及びガス設備」、「冷房、暖房、通風又はボイラー設備」、「消火排煙又は災害報知設備及び格納式避難設備」、「エアカーテン又はドアー自動開閉設備」、「アーケード又は日よけ設備」、「店用簡易装備」及び「可動間仕切り」を見ると、これらは、建物に固着されたもので、その建物の使用価値を増加させるもの又はその建物の維持管理上必要なものではあるが、本件電波暗室のように、建物と機能的・物理的に一体不可分であり、建物の用途そのものに客観的な便益を与えるものではないことから、建物とは独立して、耐用年数が算定されたものであると解される。そうすると、文言上も、また、その趣旨の点からも、本件電波暗室が、耐用年数省令別表第一の種類「建物附属設備」に該当すると認めるべき根拠はないというべきである」とした(最判平成19年7月3日)。

[解説]

資産に測定のためであるとか、設置することを目的としたかの目的、工場用、機能は実体のない観念である。

法の趣旨は、国際金融資本の資本関係を土台とした実体関係を土台とした現金留保、回収義務に基づいており、経済関係の全体化を疎外した実体のない観念である。目的や工場用という備わっていない属性や機能という備わっていない属性によって償却が規定されるのではない。

法の趣旨、客観という観念や物理という現象、法則、外観に基づいて規定されるのではない。資産には価値属性は備わっていない。

現実の、生産手段にして貸与、労働を疎外して、資本に転嫁という過程によって、一組の資産を構成するものであるかが規定され、費用が実体あるものとされる。 当該資産だけで、生産手段にして貸与して労働を疎外して資本に転嫁しうるか否かによって、原価が規定される。