[事実関係]

 平成15年1月1日から同年12月31日までの事業年度、及び平成16年1月1日から同年12月31日までの事業年度において、支払を受けた関係法人等株式等の配当について益金不算入の額の計算を行った。その際、法人税法施行令22条1項に規定される配当等から差し引く負債利子の計算方法の分子の金額を、保有する関係法人株式等の内、配当の支払のあったA株式の帳簿価額のみとして計算した。

 裁判所は、

「法人税23条4項2号の「配当等の額の合計額から当該負債利子の額の内、当該関係法人株式等に係る部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額」の「当該関係法人株式等」は、同号冒頭の「その保有する関係法人等」を指すことは明らかであり、法人税法施行令22条1項2号の「期末関係法人株式等」の「関係法人株式等」も同様に法人税法23条4項2号冒頭の「その保有する関係法人株式等」を指すことも文理上明らかである。

そして、法人税法23条6項では、4項で規定する「関係法人株式等」とは、出資割合が100分の25以上に相当し、当該株式又は出資を当該事業年度終了の日以前6か月以上引き続き有している場合と規定しており、「関係法人株式等」に該当するための要件として配当の支払があることは求められていない。

したがって、法人税法23条4項2号冒頭の「その保有する関係法人株式等」は配当等の有無にかかわらず、法人の所有する全ての関係法人株式等をいうと解すべきである。受取配当等の益金不算入額の計算にあたり負債利子の額を控除する趣旨は、配当等の額を益金に算入しないようにする一方で、負債利子をそのまま損金に算入することを認めると、負債利子の額が配当等以外の収益から控除されることになり、二重課税を排除するという制度の趣旨を超え、租税負担の公平を害するためである。

また、負債によって取得した株式等について、ある事業年度にたまたま配当がないからといっても、その株式等にかかる負債の利子の額が、他の収益に対応する費用にはなり得ないのであり、むしろそのような負債の利子は、その後も含めた配当を受けるための費用という性質を有するというべきである。

仮に無配であっても、当事業年度の損金に含めない(益金算入不算入額の計算において配当等から控除する)とすることが、費用収益対応の原則にも合致する」とした(東京高判平成21年9月24日)。

[解説]

 配当が有る無しは偶々ではない。既存の資本関係、それを土台とした実体関係に基づく現金留保義務、現金回収義務により、配当の有無が規定される。負債利子には配当を受けるための利子という目的や属性は備わっていない。

紙幣発行権を有しない資本家は、金融資本家から投融資を受けた現金を源泉にして、資産の購入又は現金を生産手段にして貸与して労働を疎外し、資本に転嫁して現金留保をし、現金商品と交換し、現金に価値属性を付与することで実体のない価値を実体あるものとする過程を見れば、貨幣は所有主を持たないのである。

所有主を持たないが故に配当の有無に関係なく、法人の所有する全ての関係法人株主等ということにせざるを得ない。

支払利子は、法人の所得計算過程上、損金に算入されている。配当のあった株式のみを、受取配当から控除される支払利子の計算の分子の関係法人等株式の簿価に組み込むことは、受取配当の益金不算入、所得税額控除、配当税額控除を受けて重複して税負担を免れるだけでなく、益金不算入となる受取配当金から差し引かれる支払利子を、現金の留保、実現の過程、経済過程を土台とせず、実体なく、架空資本の簿価の総資産の占める割合という現象のみから支払利子総額に乗じて算定しすることで、更に、関係法人等株式の簿価を架空資本を配当のあったものに絞ることで、受取配当の益金算入額を実体なく算定することで、支払利子の二重に益金から控除した部分が実現し、課税を更に免れことになるのである。

原告のした負債利子の計算方法は、租税負担の公平という観念の問題ではなく、国際資本の資本関係を土台とした現金留保義務、現金回収義務に基づいた立法趣旨と交渉して問題となるのではなく、原則の問題ではなく、現実の現金留保、実現の過程と乖離していることが問題となる。