寄附行為が重要な財産の処分に該当した場合、取締役会を経ていない法人の寄附行為が実体あるものとして社会に認めさせることができるかが問題となる。裁判例は、「個々の取引行為については取引の安全の観点から原則として有効と解し、ただ相手方が決議を経ていないことを知り又は知りうべかりしときに限って無効」とする(最判昭和40年9月22日)。

取引の安全というのは実体のない属性、方便であって、現実には既成事実として国際金融資本家の現金留保となったからである。

資本を有しない代表取締役は、資本家との関係では使用人であるにもかかわらず、賠償義務が負わせられてしまっている。資本を有する代表取締役であっても、資本関係に基づいて所有する法人の留保現金を処分するのであって、資本家との間では使用人であり、資本関係を有するが故に資本家名義で損害賠償義務が課せられる。知っているか否かというのは観念の問題で実体がない。

知っているか否かを社会通念や客観という実体のない観念に基づくと、寄附の土台となった経済実体の全体化が放棄されてしまうのである。

労働力商品に、当該寄附により、現実に、資本関係により、寄附の支払が転嫁されるから、原因事実の土台が存在し、原因事実の全体化がされる義務がある。 寄附行為をせざるを得ないかについては、寄附行為をするしないまでの過程において、使用人を交えて問題提起の全体化がされている義務がある。