[事実関係]
 原告法人法人T、法人Nは、土地の譲渡代金、譲渡原価及び譲渡益を3法人で2対7対1の割合に各配分をした上で、配分した金額を確定決算に計上し、決算に基づき各々法人税の確定申告を行っている。

税務署長は、このような本件土地の譲渡益の配分は、原告法人ら3社が、いずれも多額の繰越欠損金を抱えることを奇貨として、本来原告法人にのみ帰属すべき本件譲渡による譲渡益を、そのまま原告1社の収益として、原告1社の繰越欠損金を算入したのでは所得が発生してしまうので、3社の間で2対7対1で配分し、これらと3社の繰越欠損金の一部をそれぞれ当期控除額として損金の額に算入して、結局本件譲渡による譲渡益全額のついて不当に法人税の課税を免れようとする意図の下に行われたものであるとして、原告法人がT及びNに配分した各譲渡益は、原告が何らの反対給付を受けることなく、2社に対して譲渡益に見合う経済的利益を供与したものというべきであるから、法人税法37条に規定する寄附金に該当するとして、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定を行った。</p>

<p> 裁判所は、

「法人税法37条5項の規定する寄附金は、通常の営業経費に属さない資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与として把握され、対価を伴わないことを本質とするところ、原告、T、及びNの法人税の確定申告状況の内容が各社とも申告所得金額零円であること、仮に本件土地の譲渡代金の14億3,919万4,284円の全額を原告法人に帰属すべき収益の額として右3社の右事業年度の所得金額の計算をすると、原告の本件事業年度の所得金額は、同年度の期首繰越欠損金額2億8,569万2,994円の全額を当期控除額として損金の額に算入した場合においても、4億8,957万7,582円となるのに対して、Tは、4億3,280万2,988円の欠損金、Nは、4,239万219円の欠損金となり、右2社の各事業年度における期首の繰越欠損金の額が翌事業年度に繰り越されることとになる。

そして、原告、T及びNは、いずれもその代表取締役ないし実質オーナーであるUの任意の意思によって支配管理されている会社であり、各会社の行った経済取引につき、これをいずれの会社の取引として会社の取引として会計処理をするか、また各会社の所得配分等税務申告の内容をどのようにするかなどは同人の自由意思で、いかようにも操作することが可能であったことは既に認定したとおりであるから、本件譲渡代金が全額原告に帰属すべきことは、判示したとおりであるから、これを全額所有者Tが7割、名義提供者である原告が2割、金融協力者であるNが1割であるとする配分基準に従って配分することは、何らの合理性もない。

したがって、原告が本件譲渡代金、譲渡原価及び譲渡益を原告、T及びNに2対7対1の割合で配分してそれぞれ税務申告を行ったのは、原告が本来納税すべき法人税の額を不当に減少させる意図によるものといわざるを得ず、これからしても、原告がT及びNに配分した各譲渡益は、原告が何らの反対給付を受けることなく、右2社に対して右譲渡益に見合う経済的利益を供与したというべきであるから、Tに配分された譲渡益6億1,780万1,780万4,572円及びNに配分された譲渡益8,825万円の合計7億6,06万2,368円は、法人税法37条5項に規定する寄附金に該当する」とした(千葉地判昭和62年5月6日)。</p>

[解説]
 租税回避の意図を含め、意図は実体のない観念である。奇貨は実体のない観念である。当不当も実体のない観念である。

法人は資本家との資本関係により、現金留保義務が課せられ、意思に関係なく土地の登記をせざるを得ない。

当該法人は、土地と現金商品との交換に法人の意思はなく、中央銀行を所有する民間銀行を所有しない全ての法人の資本家は紙幣発行権を所有せず、産業法人を所有する資本家は、名義は金融機関とは限らないが、金融資本家から投融資を受けざるを得ず、金融資本家との資本関係から意思はなく、全ての金融資本家は紙幣発行権を有する国際金融資本家との資本関係から意思はなく、国際金融資本家は、紙幣発行権取得過程と紙幣発行義務、既存の投融資権、資本家再生産義務、現金回収義務から意思はない。
法人の資本家と法人の資本関係により、法人は、土地に現金を投下することを余儀なくされ、土地と現金商品の交換により、既に疎外されている労働を土地に転嫁して現金留保を得て、配当所得を圧縮している。譲渡名義で得た現金留保を原告法人と原告法人の資本家が所有する法人2法人に分配した。原告法人がした現金の贈与は、現実には法人の資本家への配当ということになる。