当社は、3月決算法人で間接法により減価償却を行っており、期首簿価980,200円、減価償却累計額が408,743円ある車両を下取りに出し、税込1,050,000円と査定された。預託金貸借対照表計上額は10,000円である。下取価格を新車の頭金に充当されることとなった。旧車の返還された預託金も新車の頭金に充当された。新車の取得日は5月31日とする。

新車の注文書の内訳は下記のとおりである。

①本体価格 2,300,000, 付属品 110,000 カーナビ 200,000

②リサイクル費用 10,380(内資金管理料380)

③自動車税 34,500  自動車取得税 133,000 自動車重量税(37ヶ月)36,900 自賠責保険(37ヶ月)   42,800

④法定費用・・・検査登録 2,200 車庫証明 2,500 下取車 2,800

⑤販売諸費用50,000(内訳:検査登録手続代行 25,000 車検証明手続代行 10,,000 納車費用 5,000 下取車査定料 10,000)

⑥割賦手数料 219,788(60ヶ月)

⑦消費税133,000

(借方)                          (貸方)

車両       2,660,000    抜課仕       車両     1,000,000 抜課売

仮払消費税    133,019  仮払対課       仮受消費税    50,000 仮受対課

預託金        10,000      外        未払費用   2,217,868 外

雑費            361 抜課仕          預託金       10,000   非売

租税公課      184,972     外        固定資産売却益 428,543   外

保険料         11,567  非

支払手数料      36,631  非

長期前払費用   241,318    外

減価償却累計額  408,743 外

車両          19,800 外

※抜課仕ー消費税税抜課税仕入 抜課売ー消費税税抜課税売上 仮払対課ー仮払対課税仕入 

 外ー消費税課税対象外 仮受対課ー仮受消費税対課税売上 非ー非課税仕入

上記の仕訳は、下記のように、Ⅰ車両の売却、Ⅱ車両の購入、Ⅲ下取代金の頭金への充当の3つに分けてみるとわかりやすい。

Ⅰ. 車両の売却

(借方)               (貸方)

現預金 1,060,000         車両 1,000,000

仮受消費税 50,000

預託金 10,000

減価償却累計額 408,743  

車両         19,800 

                   固定資産売却益428,543

旧車の下取価格が消費税の課税売上になるから、譲渡車両1,000,000(課税売上)と貸方計上せざるを得ない。決算損益上は、下取査定による現金留保と旧車の簿価純額の差額が譲渡益となるから、車両の貸方計上額は譲渡車両の簿価純額でなければならないから、まず、下取価格1,000,000-旧車簿価 980,200=19,800を借方車両と計上して、旧車の資産計上額と一致させる。消費税の存在により、譲渡車両総額は両建経理をせざるを得ないのである。旧車の下取価格と旧車の簿価純額の差額が旧車の売却益を構成するから旧車の減価償却累計額を譲渡車両の簿価から控除する。

 法人税法上、減価償却費は損金経理が要件であるが、旧車につき当期首から2ヶ月分減価償却費をしなくても、旧車の減価償却費は固定資産売却損益に包摂されるから、すなわち譲渡車両簿価が減価償却費相当分過大になっており、固定資産売却益は圧縮されるから、減価償却しなくても差し支えない。商法も法人税法も架空資産の計上を認めていないから、固定資産売却益の圧縮分を否認することはできないのである。

減価償却費は、疎外された労働の評価の一部であり、労働力商品への支払が未払いとなっているものである。

Ⅱ. 車両の購入

(借)車両      2,660,000 (貸)未払費用  3,277868

   仮払消費税   133,019

   預託金  10,000

   雑費     361

   租税公課  184,972

   保険料    11,567

   支払手数料   36,631

   長期前払費用  241,318

(1)車両の取得価格=本体価格2,300,000+付属品110,000+カーナビ200,000+販売諸費用50,000

(2)保険料42,800×10/37=11,567→保険料 42,800×27/37=31,233→長期前払費用

(3)自動車重量税 36,900×10/37=9,972→租税公課 36,900×27/37=26,928→長期前払費用

(4)租税公課=自動車税34,500+自動車取得税133,000+自動車重量税9,972+法定費用7,500=184,972

(5)割賦手数料 219,788×10/60=36,631→支払手数料  割賦手数料は現実には利息であるから、消費  税は非課税。219,788×50/60=183,157→長期前払費用

(6)長期前払費用=自動車重量税26,928+自賠責保険31,233+割賦手数料183,157=241,318

(7)仮払消費税=車両133,000+資金管理料19(=380×5/105)

(8)雑費=資金管理料税抜金額

(9)金銭債権の譲渡であるから預託金の返還は非課税売上であり、課税売上割合の分母に算入される。

Ⅲ.下取代金の.頭金へ充当

(借)未払費用 1,060,000 (貸)現預金 1,060,000