<p>[事実関係]</p>
<p> 原告法人は、A土地とA’土地及びB土地とB’土地の交換について、法人税法50条1項の規定を適用し、取得したA’土地及びB’土地の帳簿価額を一部減額し、右減額した金額を損金の額に算入して確定申告をした。税務署長は、上記交換特例の適用を否認して更正処分を行った。</p>

<p> 裁判所は、

「交換特例が、同一種類の固定資産を交換した場合には、経済的にみて同一資産が継続して保有されると評価して、一定の条件に適合する交換に限り、交換差益について課税の繰延べを図り、圧縮記帳方式による旧帳簿価額」とした引継ぎを認めた制度であるから、交換特例を受けるためには、譲渡資産と同一種類の資産を取得し、かつ、取得資産を譲渡資産を同一の用途に供することが必要である。

この譲渡資産と取得資産の用途が同一であるというためには、右交換特例の趣旨に照らすと、譲渡資産の譲渡直前の用途と取得資産の現況における用途が同一であることが必要である。そして、法人税法上、土地の用途の同一性の判定基準に関する規定は存在しないが、法人税基本通達10-6-7によれば、交換資産が土地の場合には、その用途の同一性は、その現況により、宅地、田畑、鉱泉地、池沼、山林、牧場又は原野、その他の区分により判定すべきであるとされている。交換特例が課税処分の可否を決する制度であり、画一的、衡平に適用されなければならないことを考慮すると、土地の用途を定型的に区分してそれを判定する右方法は相当なものと認められる。

ところで、右基本通達は、右宅地等の区分の判定基準については何ら触れていないが、不動産登記における地目が、土地の現況及びその利用目的等を勘案して決定されることからすれば、交換特例における前記区分の判定についても、その趣旨に反しない限り、不動産登記における地目の決定基準に準じて判定するのが合理的である。そして、不動産登記実務において、宅地とは、「建物の敷地及びその維持若しくは効果を果たすために必要な土地」であり、それら地目の判断は、部分的にみれば土地の現況及び利用目的に僅少の差異が存するときであっても、土地全体としての状況を観察して定めるべきであるとされ(不動産登記事務取扱手続準則<昭和52年9月3日法務省民産第4473号通達>117条)、したがって、運動場、ゴルフ場等については、建物の利用を主とする建物敷地以外の部分が建物に対随する庭園に過ぎないと認められる場合には、その全部を一団として宅地として認めることができるが、その土地の一部に建物がある場合でも、建物敷地以外の土地利用を主とし、建物はその付随的なものに過ぎないと認められるときは、特に、道路、溝渠等により建物敷地として判然と区分できる場合を除いて、その全部を一団として雑種地と認めるのが相当であるとされている(同準則118条7号)。そして、本件において、用途の同一性をこのように右準則の地目の決定基準を準用して判定することが交換特例の趣旨に反するとの事情を認めることはできない」とする(静岡地判平成4年9月10日)。</p>
<p>[解説]</p>
<p> 土地が現金留保を産むのではない。効果を果たすためであるとか、利用目的であるとか、目的には実体が備わっておらず、目的によって現金留保が異なるのではない。土地を生産手段として貸与して労働を疎外し、労働力商品と現金支給に生殖による労働力の土台となる現金という価値属性を付与して実体あるものとして社会に認めさせることで、又、労働を疎外し、労働力商品と給与名目で支出した現金に付与することにより実体化させた現金留保を現金商品と交換することで資本家の現金留保が実現する。生産手段として土地を貸与し、労働の疎外、労働力商品と現金給与に価値属性を与え、実体あるものとして認めさせるまでの過程により現金留保が変わってくるのである。

交換の特例は、金融資本家の方便に基づいており、既存の中央銀行を所有する民間銀行、投融資過程の実体、関係から、国際金融資本家に現金留保を加速して与え、経済実体を欠く租税特別措置である。現実の土地への資本の投下して労働を疎外することにつき、金融資本家が規定した生産関係上の義務の解釈において金融資本家が僅少な差異を捨て去ること、経済過程上の事実関係の全体化を放棄することを司法は追って肯定するのである。経済実体を全体化しないで解釈し、法の趣旨に基づいてすなわち法の目的と交渉して解釈することは、国際金融資本家の現金留保を促進する装置となるのである。</p>