[事実関係]
物品卸売業を営む原告法人は、仕入先訴外製粉法人から商品を購入し、10万余円の割戻金を受領した。
税務署長は、この内、係争事業年度において訴外法人から支払を受けることが確定している割戻金は、合計48万5,910円であるが、原告法人はこの内37万7,375円について、益金に計上せず、当該取引の事実を隠蔽していたとして、青色申告承認取消処分、更正処分、加算税賦課決定処分を行った。
税務署長は、「原告法人がその取引先である訴外法人から支払を受ける割戻金等のいわゆるリベートについては、その算定基準が予めその購入商品の数量によって一定しているので、原告法人が係争事業年度に購入した商品に関するリベートは既に発生し、確定しているものとして、現実に支払われているか否かを問わず、係争事業年度の所得として課税の対象となるものである」と主張した。
原告法人は、「訴外法人から支払われる割戻金等のリベートの算定基準は一定せず、訴外法人からの個別的な通知によって初めてその金額が確定するものである。それ故、原告法人は係争事業年度において右通知により既に確定していた金額を申告し、その余は係争事業年度内においては未確定であったから申告せず、その後訴外法人から昭和35年8月1日付書面においてなされた通知によって初めてそれを確定したので、次年度においてこれを収益計上した次第であって、税務署長主張の算定基準は、もしこれありとしても、それは訴外法人の社内内規に過ぎず、対外的な効力を有するものではない」と反論した。
裁判所は、
「リベートの算定基準は予め定まっており、原告法人もこれを了知し、又は少なくとも電話連絡とか連絡員の派遣等により当然了知しうべき状況にあることを推認でき、出荷袋数等も把握しうるものであるから、本件リベートは係争事業年度の所得に対応し、しかもその決算期においてこれを自主計算することは可能であると考えるのが相当である。
してみると、本件割戻金等のいわゆるリベートは、その算定基準が予め購入商品の種類、数量により一定しているので、原告法人が係争事業年度に購入した商品に関する右リベートは既に発生し、原告法人において自主計算し得るものであるから、現実に右年度内に支払われると否とを問わず、係争事業年度の所得として課税の対象となるものである」とする(松山地判昭和41年6月13日)。
[解説]
商品と現金商品の交換の段階において、現金商品と商品に付与された価値属性が契約により実体あるものと社会に認めさせることに成功し、請求の有無に関係なく、発送の段階において現金商品を引き渡さざるを得ないことが経済関係上、確定している。
商品が出荷された段階までに、商品購入法人の資本は、納品した法人の使用人の労働は疎外され利潤が確定されているから原価は確定し、棚卸資産の計上額が確定する。
既存の経済関係から一定の基準から割戻金が支払わざるを得ない経済関係が確立していれば、算定基準、確定金額を知っていたか否かは実体がなく、知っていたか否かに関係なく棚卸資産計上額を土台に見積もることはできる。
知っていたか否かを推認できるか否かからは収益計上は規定できないであろう。一定期間支払が留保されている割戻金については現実に利益を享受した段階での収益計上を認めざるを得ない旨の生産関係上の義務はある。
しかし、売上法人と仕入法人の資本関係、経済関係により割戻金を支払う側が規定した内規が疎外されて労働が疎外されて割戻金が支払われないことがあり、又はリベートの収受が資本関係又は経済実体を土台にした契約上の権利、現実には資本関係から支払う利子配当ではなく、経済関係を土台とした義務が確立していない場合、その場合には割戻金名目の現金商品の留保が確定、実現できていないのであるが、金融資本が税務機関を使用して言う算定基準は実体がないのであるが、既往において割戻金を確定した実績があれば、確定できたのであれば、それを基に見積計算すること、見積計上することが、金融資本家の資本関係、現金留保義務を土台に、金融資本家と税務行政機関と生産関係を通じ、余儀なくされてしまっているのである。