株式会社の取締役に対する退職慰労金は、その在職中における職務執行の対価として支給されるものである限り、商法269条にいう報酬に含まれるものと解すべきところ、上告人が被上告人から退任取締役として支給を受ける退職慰労金は、仮に、被上告人が所論のような実体を有する同族会社であり、所論のような内容を有する本件退職慰労金支給規定によって支給される場合であっても、同条にいう報酬として定款又は株主総会の決議によってその金額を定めなければならないと解するのが相当であるとする裁判例がある(最判昭和56年5月11日)。
退職金は、生産関係上の義務であり、当該裁判例においては、商法361(旧269条)にいう報酬に含まれるとすることを法を媒介に社会に認めさせることに成功させられている。国際金融資本家側は、退職金を支払う法律上の義務はないとし、全資本家との資本関係、国際金融資本家の現金留保義務を土台に、所有する法人に退職金制度の廃止を余儀なくさせることを社会に認めさせることに成功しつつある。