[事実関係]

東京都における銀行業等に対する事業税の課税標準等の特例に関する条例に基づき、業務粗利益等の外形標準で法人事業税を課された大手銀行ら原告は、東京都及び知事に対し、条例の無効の確認、条例に基づく更正処分、決定処分の差止請求、条例に基づく事業税の納付不存在の確認を求めて出訴した。

事業税を納付した原告らは、本件条例に基づく事業税の過誤納金としての還付、還付加算金の返還と共に、条例制定に関する国家賠償と遅延損害金の支払等を求め、更に、申告納付後の更正の請求に対してなされた更正の理由がない旨の通知に対して、更正通知拒否処分の取消し、過納金としての事業税額の還付及び還付加算金の支払、国家賠償額に対する遅延損害金等の支払を求めた。

第1審は、都知事に対する訴えと条例の無効確認の訴えを却下したが、

その他の請求については、

①地方税法72条の19は、応能原則に基づく課税を当然の前提にしているから、事業の情況に応じて外形標準課税をする場合でも、事業の担税力を適切に反映する所得を課税標準とすべきである、

②銀行業については外形標準課税を許す事業の情況がなく、本件条例は無効である、

③無効な本件条例に基づいて算出された納税額については、法律上の原因を欠いた利得として還付請求をしうる、

④本件条例の制定により原告らはその信用が著しく低下するなど無形の損害を被った等の主張を認容した。

控訴審は、

「地方税法72条の19に基づき導入した外形標準課税が同法72条の22第9項の均衡要件を満たすことについては、外形標準課税を導入する条例を制定した地方公共団体側において、客観的な資料に基づき積極的に証明すべき責任があるところ、本件条例による税負担が、所得を課税標準とした場合の負担と、著しく均衡を失することのないようなものであることを認めるに足りる証拠はなく、東京都は、本件条例が均衡要件を満たしていないことになる。

したがって、本件条例は、地方税法72条の22第9項に違反し無効であるから、原告らの東京都に対する平成12事業年度分の事業税を対象とする過誤能金の還付請求を認めた部分は相当である。但し、本件条例に至る東京都と東京都知事の一連の行為が、客観的に職務上尽くすべき法的義務に違反し違法とは評価できないから、原告らの東京都に対する国家賠償請求を認めた部分は失当である(東京高判平成15年1月30日)。

[解説]

応能負担、応益負担は、いずれも実体のない価値属性を付与することであり、べき論、当然の帰結論、論理的帰結、すなわち、宗教論、神学上の議論である。

現金留保を受け取ったことも、既成事実として現金を留保していることも、現金の投下を源泉に、労働を疎外したことを土台にするものである。

現金留保を源泉に投融資を行い、労働を疎外し搾取利得たる現金留保を得るわけであるから、課税の土台は現金の留保である。

貸倒れは、国際金融資本家による組織再編による現金留保過程であって、現金留保のなくなった法人の架空資本たる株式、国債を買わされた法人から利子配当を受け取るから貸倒れになっておらず、利子配当収入から、貸倒に原価の属性を付与して控除することはできない。

課税は、所有する金融機関が労働を疎外して留保した現金留保を把握、確定して、課税を手段に国際金融資本家に現金が留保する過程にあり、低所得者には課税による現金留保は分配されない。

子法人たる金融機関や融資による資本関係にある産業法人に現金を留保させておくと中央銀行を所有する法人の架空資本を劣後金融資本家や産業資本家が購入できてしまうという既存の経済関係が成立しているからである。

都銀行条例は、国際金融資本家が、資本関係、現金留保義務を土台に使用人たる都知事を使用して成立させた。貸付先が現金不足となったのは偶発ではなく、金融資本家の資本関係、資本関係を土台とした現金留保義務に基づく組織再編による現金留保の過程であって、金融資本家は中央銀行を所有する民間銀行を所有しているから、金融資本家が所有する銀行は、貸倒れになどなっておらず、銀行も銀行を所有する資本家も現実に現金を留保しているのであって、国際金融資本家は、配当を支払わせておきながら事業税を支払わずに更に現金留保し、世界各地の中央銀行を所有する銀行に投融資して戦争を行うことを余儀なくさせている。

原子力を含む電力供給業、ガス供給業、生命保険、損害保険は、収益ベースの事業税課税だけでそれ以外のものを土台に課税が行うことができず、これらの法人を所有するのは国際金融資本家である。

銀行税は、税を負担する者の意見を十分に反映しないまま市民の抵抗感が少なく賛成が得られやすい企業の狙い撃ち課税をするものであると見解があるが、イデオロギーによる狙い撃ちではない。

銀行に投融資をする国際金融資本家は現実に他のいかなる全ての資本家よりも現金留保を有し、経済実体のあるなしに関係なく紙幣を発行できる権利を有している。世界各国は、国際金融資本家が資本関係、現金義務を土台に立法した法律に応じさせられて、また、その上層の意見を受け容れさせられ、戦争を行わざるを得なくさせられてきた。

生産関係上、労働を疎外することなく給与を支払い、租税は、国際金融資本家が所有する配当の源泉の原資、搾取の源泉たる現金留保から負担する義務があり、法人と法人の資本家の現金留保は別個のものと認めさせられているから双方に課税されても二重課税とはならないにも関わらず、その義務が労働者に転嫁されてきたのである。

現実においては、配当は税引前の利益から支出されているにもかかわらず、課税後の利益から支出されるとの方便により、受取配当金の益金不算入、所得税額控除を認めさせ、労働者の給与は税引後から支出されているにもかかわらず、税引前から支出されるとし、給与課税を受けてきたのである。

本件条例の制定により信用が著しく低下するなどの無形の損害を被ったとする主張をした原告について、信用は実体がないからそれを認容した第1審は問題である。本事例は、上告後、外形標準部分を0.9%に引き下げることにより和解が成立し、国際金融資本家と日本の全資本家との資本関係により税負担を軽減させられたのである。