給与所得についてその源泉徴収を過大に行った場合、確定申告を給与所得することができるから、給与所得者は、確定申告によらない還付方法が成立し得ないとする見解がみられる。

一の生産に従事する毎に労働が疎外されて労働力という属性により給与が確定されるとしながら、現実の支給は法定の支給日まで待たされ、源泉徴収分は、確定申告をして課税側より返還されるまで資本家に前貸しさせられているのである。

役員給与、賞与については、法定の支給日とは別に、課税側から役員報酬、賞与の認定すなわち評価がなされることがある。

理由の附記に瑕疵、欠缼がある、実体のない事実が記載されている、記載された事実と現実が異なる場合は、実体のない課税、現実の経済関係とは乖離した事実認定を土台に課税が行われている。

法人の役員であることをもって、法人の資本家が投融資した現金を、自らの経済関係、現金留保義務を土台に使用しえないから、役員が資本家でもある場合には資本関係、資本の移転過程における現金留保義務を土台として法人の現金をしているから配当であって、配当源泉の問題であり、役員賞与ということは成立し得ない。

役員賞与でないとされて法人税の更正処分が取り消された場合には、所得税法上の給与所得者である役員も法人税法上の法人も資本家も別個の法人であるから、源泉所得税の告知と法人の更正処分と配当源泉の処分は別個の処分であるから、源泉処分の告知についても不服申立て、訴訟を提起せざるを得ない。給与の受給者は訴訟を提起できると解される。

裁判例の中には、源泉徴収を受ける者は給与支払者についての納税告知を知った時からこれについての異議申立て、行政訴訟をなし得るとするものがある(名古屋地判昭和41年12月22日)。

給与所得者は、過大源泉徴収分を給与支払者に源泉所得税の過大納付分が返還されないときは、それを支払わせることができる。

役員が資本家でない場合には、労働が疎外され現実の労働についての給与支払義務が履行されていないのであるが、使用人である役員が資本家に所有された法人を訴えることは、現実の生産関係上困難である。

給与の支払者たる資本家が法人名で不服申立て、訴訟を提起する義務があるということになる。資本家が源泉所得税の告知を見て、何らその土台となる事実を把握せず、問題提起をせずに、告知のままに支払った場合には、給与は全額現金で支払うことは生産関係上義務であるから、給与の受給者から源泉を差し引くことはできないと解される。

給与の支払者に税務署長を名義として納税の告知について争って敗訴した場合、裁判例は、納税の告知についての抗告訴訟とは別個に、納税の告知を受けた給与支払者の源泉徴収義務の全部又は一部の不存在確認と呼ばれる訴えを提起し、給与所得者に訴訟告知をして、当該納付義務の存否、範囲について給与所得者とその責任を分かつことができる旨を判示している(最判昭和45年12月24日)。