[事実関係]

更正、決定の取消訴訟の提起後の過程において再更正が行われた場合に、当初の更正、決定に関する取消訴訟の訴えの利益は失われるのかという問題がある。

裁判所は、

「第二次更正処分は、第三次更正処分を行うための前提手続たる意味を有するに過ぎず、また、第三次更正処分も、実質的には、第一次更正処分の附記理由を追完したことにとどまることは否定し得ず、また、かかる行為の効力には疑問がないわけではない。

しかしながら、これらの行為は各々独立の行政処分であることはいうまでもなく、その取消の求められていない本件においては、第一次更正処分は、第二次更正処分によって取り消され、第三次更正処分は、第一次更正処分とは別個になされた新たな行政処分であると解さざるを得ない。

されば、第一次更正処分の取消を求めるにすぎない本件訴は、第二次更正処分を受けた時以降、その利益を失うにいたったものというべく、これと同趣旨に出た原審の判断は正当であり、論旨は、排斥を免れない」とする(最判昭和42年9月19日)。

[解説]

全ての更正処分、課税処分は、金融資本家が、税務署長との生産関係を土台に、納税者の帳簿記載の土台となった経済事実関係の疎外して、自らの現金留保義務により価値属性を付与して事実を確定し、自らの現金留保義務を土台に規定させた法律の規定を解釈して、法に包摂し、実体があることを社会に認めさせるという過程を採用する。

更正処分において、調査によって全ての事実を把握し、全ての問題摘出をして全ての事実関係について、事実関係が現実に実体があり、現実どおりであることを質問検査をして確かめて確定し、全ての問題摘出をして条文を探し、法解釈を行い、当該事実、事実関係が法に包摂できることを確定し、包摂の土台となる経済関係上の事実、事実関係、解釈、適用条文の過程を確定するのであるが、その過程に瑕疵、欠缼があれば、更正処分は取り消さざるをえず、更正処分をやり直す土台があると解される。

生産関係上、課税の土台となる経済関係上の事実関係が変更して処分を行わざるを得ない場合には更正処分は取り消さざるを得ず、更正処分をやり直さなければならないという土台がある。

再更正が行われた場合、更正処分と再更正処分は別個の処分であり、併存する。処分を行うまでの当該過程を踏んで処分理由を確定せずに見込みで更正処分を行い、再更正処分の過程において、瑕疵、欠缼のある理由附記を補完するということや理由を差し替えて当初の更正処分を維持することはできないとする土台がある。

再更正が行われた場合、更正処分と再更正処分は別個の処分であり、併存するということになる。第二次更正処分により、第一次更正処分が、自動に取り消されるということは有り得ない。

第二次処分によって、第一次処分が取り消されて第二次更正処分に吸収されるかのような主張は、留保現金を土台とした資本関係を土台に納税者に現金留保を取り戻す権利を与えてこなかったことを、現実の経済関係と異なった処分や見込み処分を疎外して、再更正処分によって課税関係を維持することを、税務署長を雇用する金融資本家に認めるものである。