投資信託の内、証券投資信託、公募国内投資信託以外の特定投資信託や不動産や金銭債権といった特定資産を所有する者が、当該資産を証券会社や信託銀行と信託契約を結び、現実には受託者の所有となり、
信託者は、信託受益権を受取り、
証券会社や信託銀行を通じて信託受益権が投資家に販売され、
販売代を信託者が受け取った後、信託者の収益の中から投資家に収益分配金が交付される特定目的信託の場合には、信託段階において受託者を納税義務者に課税が行われ、収益の分配の額、利益の分配の額が、配当可能利益又は配当可能利益の90%を超える場合という要件に基づいて、それは受託者の損金に算入され、受託者は、税額負担を免れる。
受託経済実体に投融資している経済実体と劣後資本に投融資している経済実体はイコールである。
受託者は、つまりは、受取配当金の益金不算入を受けたことと同じ結果となる。
信託契約、売買契約によって、受託者と受益者たる投資家と信託者は、留保所得たる現金留保を法律上の権利として認めさせているから、法人であり、実体化させているのであるから、二重課税とはならない。
特定目的信託や特定投資信託の受託を業とする金融機関、それ以外の法人の場合、配当は、利息と同じく、法人の資本が投資した現金を源泉に、労働力商品の労働を疎外し、搾取を行い、利息債務、配当支払、租税の支払を収益から控除してから、仕入債務を支払い、労賃を支払う。
全資本家からなる国家は、金融資本家に劣後する。配当は課税済みの利益から行われているのではないから、法人擬制説論者のいう二重課税の問題は成立しえない。
金融資本家との資本関係により、配当支払法人も配当受取法人も資本家の集まりであるが、法律行為により、現金留保を実体あるものにして法律上の権利、資産として、社会に認めさせることに成功させざるを得なくさせられている。
配当を支払った法人においては、労働者に配当名目でその支払を転嫁したことによる配当原資たる現金を取得しているのであるが、労働者に転嫁して支払わざるを得ない金銭は法人の損金には算入されない。
受取側の法人においては益金不算入であるという問題がある。資本関係のみならず、経済関係からも配当を支払っていれば、利息と同じく、現実には、課税を受ける前に支出しているから、損金ということになる。
受取側法人の資本家に稼得した現金が送金されるから、受取側法人の資本家が受け取る株主の配当を支払法人側法人の労働者が負担させられたことになる。
当該信託に係る税制は、産業資本を残存している金融資本家が、産業資本を売却して、現金留保してきたことを促進する土台たる装置となる税制である。