[事実関係]
親会社は、独自ルートで自社製品を販売せず、海外子会社に親会社の製造した商品、原材料を供給することはないが、親会社名義で契約した親会社商標と子会社製品の広告宣伝に要した費用を親会社側が広告宣伝費を計上したことにつき、審判所は子会社製品の宣伝のために支出した金額であり、子会社の資金繰りが厳しかったために親会社が負担したとして、子会社の費用負担を親会社が肩代わりすることによる経済的利益の供与があったとして国外関連者に対する寄附金であるとした(東審平成14年6月24日税務通信3244号)。
[解説]
実体のないブランド使用料、親会社と資本関係、技術援助を土台とする現実には親会社は収受していなかったが、ロイヤルティ支払い、という搾取の経済関係、生産手段の貸付けと労賃搾取という生産関係があり、利払い、配当の源泉となる現金留保を蓄積せざるを得ないが、生産関係にある自社の労働者の労働を疎外して商品と現金を交換する時に取引先の資本家に、取引先に投融資する者との資本関係により、取引先の労働者の労働を疎外して労働者に商品代金の支払いを転嫁せざるを得なくさせる。
子会社は、親会社との資本関係により、自由意思に関係なく登記せざるを得ず、経済利得、所有資産を法律上の権利という属性を付与し、他の資本家、労働者、人民に認めさせざるを得ない。
商品交換時に子会社は、取引相手先労働者から搾取利得を一旦享受する。親会社と子会社は資本関係にあり、広告宣伝費を負担することによりロイヤルティ収入が増加するのは資本関係、経済関係によるものであって、自然現象ではないから反射的なものではないが、商品販売先と契約法上経済関係にあるのは子会社であり、子会社の労働者と生産関係にあるのは子会社資本家が所有する子会社である。
経済関係、生産関係に鑑みれば子会社製品の広告宣伝費を負担するのは子会社ということになる。貸付金の返還不要が契約上確定していれば、経済的利益の供与があったことになる。
親会社は子会社の資金留保に関係なく投融資し、返済が受けられなかれば、安く買収し、現金の無記名と架空資本に実体のない株価属性を付与して現金留保を膨らませる。金融資本家と資本関係のない資本家が所有する法人でない限り、子会社の生産手段を提供し、所有している資本家は現金留保があるから子会社支援の貸倒れとはならない。
親会社資本家は親会社に信用という実体のない属性を付与して、広告代理店と契約することにより、子会社に投融資をして、利息や配当の原資となる現金留保を所有、蓄積というプロセスを継続していることになる。
将来の効果の期待という実体のない方便でなく、市場開拓をせざるを得ないという経済上の決定をするに至った土台となる経済上の事実関係と問題提起、プロセスの存在と現実に商品を供給したことが開発費の前提となるものと思われる。
現実に商品役務の提供がなければ前払金である。