法人税37条7項は、寄附金について下記のように規定する。
前各号に規定する寄附金の額は、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもってするかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与(広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費及び福利厚生費とされるべきものを除く。次項において同じ。)をした場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産の贈与の時における価額又は当該経済的な利益の供与の時における価額によるものとする。
学説は、「寄附金が法人の純資産の減少の原因となることは事実であるが、法人の収益を生み出すのに必要な費用といえるかどうかは、きわめて困難な問題である。もし、それが法人の事業に関連を有しない場合は、利益処分の性質をもつと考えるべきであろう。」(金子宏・租税法17版333頁)。
資産の提供に利益処分の性質は備わっていない。利益処分という評価ができるか否かである。
寄附金の前提となるものは、現実に純資産の損失があったこと、現実に現金資産の流出があることである。支出先団体とは、既成事実に経済関係がないが、支出先団体が金融資本と生産関係があり、当該現金の流出について、金融資本家との経済関係から支出するしないに自由意思がなく、金融資本家との経済関係上支出せざるを得ないこと、支出した現金の返還不要が自由意思に関係なく経済関係上確定していることである。
寄附金の損金算入要件に、未払計上ではなく現金支出が挙げられる理由として、贈与契約をした者が、贈与の取り消しうることが挙げられるが、法人名義で劣後金融資本、産業資本が現金を支出させられた支出先の団体は資本家集団であって、資本家集団は金融資本家に所有されているから、劣後金融資本、産業資本、これらに所有された法人に取り消しの自由意思はない。これら支出は、労働者に転嫁されて支出した現金が生産関係の土台となる支出ではなく、自己所有の労働者の労働を疎外して、商品に備わっていない価値を付与して物象化し、商品役務を交換してその他資本家所有の労働者に対価支払いを転嫁し、搾取の源泉となる現金を獲得、現金に所有、規定され、資本関係上経済関係上生産関係上貸付、生産手段、投資という投融資せざるを得なくなるというプロセスの土台となり得ない。経済土台を持たず、反対給付がなく現金の流出がある。
政党、公益増進法人、指定寄附金属性を付与された団体へ支出してその職員を雇用して生産関係を用いて、労働者の労働を疎外し搾取して留保利益、現金資産の留保を拡大しても、それを所有するのは金融資本であるから、法人がそれを収受した後、法人という実体とは別の資本家という実体に利益の所有を移転させざるを得ない。
資本関係により金融資本家に、利払い、配当の原資を作ることを義務づけられているから、実体がなくとも、金融資本家よりリスク、価値属性を付与されて低リスクで剰余資本を産むとの方便に基づいて金融資本家から投融資のフィクションを受け、架空資本を所有せざるを得なくさせられ、労働者に転嫁させざるを得なくさせられている。
裁判例、学説は、金融機関からの借入れを担保するための金融機関に資産を提供する行為は、寄附金に当たらないと解すべきであるとする(東京地判平成21年7月29日、金子宏・租税法17版333頁)。
金は、利潤の源泉ではあるが、利潤を産むのは労働であって、金や土地は利潤を産まない。金融資本から、実体のない観念である担保の名目で、資産を提供する行為は、労働を疎外し、経済関係上のフィクションにより、労働者の代表である代表取締役に自由意思がなく、経済上は、処分権が移転し、事実上返還されない。経済上、地代家賃も担保の名目で資産を提供することも、利潤の処分を余儀なくされているのである。労働を疎外されている労働者にとっては、経済上、寄附金を支出したことになるが、金融資本は、利潤を得て、貸付をフィクションして疎外労働をさせているわけであるから、租税を負担する義務があるのは、すなわち、国債の債務者である金融資本(貸付けをフィクションする、労働をしない肉体)である。
利息配当を受け取った金融資本家は、借入先の自由意思に関係なく、武器と労働力商品を購入して製造させ労働を疎外し、更に投融資のフィクションを受けさせ、金融資本家から借入をしている別の資本家に、その者の自由意思に関係なく売りつけ、疎外労働をさせざるを得なくさせる。
利潤は、武器を開発、製造する労働力の労働、戦闘する労働力の労働である。剰余利潤を産むという属性を武器に付与すれば、実体のない方便であっても、利子配当払いの義務があるから購入せざるを得ない。金融資本に所有された資本が所有する法人も搾取利得を労働者から得ている。現金支出を土台が効果が生じたのではない。利得が現実にあったのである。政党、公益増進法人、指定寄附金の属性を付与された団体への支出は、投資、貸付金であることになる。効果を期待しての、すなわち実体がない目的という意思に基づくのであれば、前払金、仮払金であるが、現実には劣後金融資本家、産業資本家、それら所有の法人に自由意思はない。
金融資本家が、所有する法人の現金資産が流出することをもって、それを要件として資本家集団たる国家との資本関係を土台に寄附金名目で投資、貸付金の損金算入を社会に認めさせ、配当、利払いすなわち搾取の源泉である現金留保を蓄積させることに成功したのである。現金留保は金融資本家への利子配当払いを通じて、金融資本家によって、第三者に投融資され、投融資された各資本家が所有する労働者に戦争を行わせざるを得なくさせられる。