証券市場に公開されている有価証券を所有する金融資本家は、所有する法人の決算を公開する義務が法律上存在する。しかし、所有する投資組合、パートナーシップ、匿名組合は公開は法律で義務づけられていない。税務確定申告書は、法律上、秘密資料とされ、公開されない。申告調整を法律上、認めれば認めるほど、決算書に記載された経済関係は、現実の経済関係と乖離したものとなって公開される。外国税額控除、受取配当の益金不算入額、輸出に係る消費税還付、移転価格否認額は決算書を通じて公開されない。移転価格否認による影響額をFIN48に基づき記載することとしたが、搾取するときは、リスクや信用を物象化するくせに、公開されるやいなやリスクは実体がないからという。

企業会計原則や国際会計基準やFASB基準は、現実には、世界各地の産業資本、劣後金融資本を所有する金融資本家と金融資本に所有関係、生産関係がある会計事務所が、金融資本家の所有する全資本家の集まりと所有するメディアを使用して、実体のない公正という属性を付与してそれを社会に認めさせたにすぎず、法律行為を媒介に社会に認めさせることには成功したわけではない。

これらの基準に基づいた決算書だけしか法律上認められないというものではない。御用学者のいう、公開する経済情報、公開しない経済情報に関する、投資家保護、債権者保護は、どちらも金融資本家のことを指しており、金融資本家の経済関係のみを考慮して金融資本、産業資本に所有されている労働者の経済関係は疎外されて、所有する会計専門家の属性を与えられた者を雇用関係により会計基準が創設されている。

これらの会計基準に書かれていない経済関係、金融資本家が所有するオフショア銀行、オフショアカンパニー、投資組合、パートナーシップについて公開し、匿名組合を認めないとすること、使徒不明金を認めないとすることは会計基準の改正を待たなくとも、既に労働の義務を履行した労働者をはじめ全ての人民の求めがなくとも公開する義務があるとすることができるのである。決算書に記載せず申告調整することを広範に認めることは、金融資本家に逃げ口上を与え、金融資本の更なる肥大に貢献することになるのである。