個人が法人に債権を譲渡し、債務者側の経済上支払が不可能、清算、破産、現実に担保が金融資本家の所有となったことをはじめ貸倒れに該当する事実関係が存在する場合、債権を譲渡した側、譲受した側において、当該貸付けが事業所得の土台となるものであるのかが問題となる。

債権譲渡の譲渡損が、みなし譲渡に該当しない場合であっても事業上必要でないとされれば、必要経費であることは否認される。

譲受した法人の側も、当該貸付けが所得、所得の土台となる収益の土台となるものかが問題となり、取立て不能となった場合に貸倒れを計上しても、貸倒れの相手方との経済関係、資本関係、生産関係によっては、相手方が借入れをせざるを得なかった場合には、交際費、配当、寄附金、賞与とされることがある。

これについては、個人事業主が第三者にした債権譲渡が、債権の取立ての委任にすぎないとして、所得税法上の必要経費であることが否認された事例(平成15年3月25日裁決)、個人事業主が第三者に行った貸付けが、事業の遂行上生じた貸付金について規定する所得税51条2項に該当しないとして、必要経費算入が否認された事例(昭和61年6月30日裁決)が存するところである。