[事実関係]
税務訴訟に要した訴訟費用が更正処分の取り消しに係る還付加算金の取得に要した必要経費、損金であるとは認められないとした判決(鹿児島地判平成23年9月7日)及び裁決(平成22年3月12日裁決)。
加算税、延滞金も、還付加算金金も、罰金、利息であるというのは搾取することの方便であって、現実には、全資本家を所有する資本家と納税者との経済関係、資本関係に鑑みれば、加算税、延滞金も利益の分配であり、還付加算金は利益の分配の返還であると見ることができ、加算税、延滞金が損金不算入、必要経費不算入であるならば、還付加算金は非課税所得ということになるのではないかと思われる。
[解説]
裁決は、更正処分によって追加で税額を支払う際に借入れた金銭の利息を必要経費として認定したが、更正処分を受けたことが資金不足の土台となった事実の1つであったとしてもそれが土台の全てではないことや借入した金銭に納税用という属性は備わっていない。
しかし、自由意思に関係なく金融資本家から産業資本家自身を媒介に労働者が搾取をされているから、利息必要経費というのであれば、更正処分の土台となった事業所得、不動産所得の必要経費であろう。
判決は、訴訟の目的が還付加算還付金の取得か更正処分の取り消しかというアプローチにより、必要経費か否かを判示するが、必要経費であるかを確定するのに必要なことは、訴訟の原因すなわち土台となった経済関係が何かである。
税務訴訟費用の土台となった所得の算定プロセスの構成要素である租税公課、所得税法人税の還付金は、損金不算入、益金不算入であるから、判決及び裁決が税務訴訟費用を損金不算入、必要経費不算入としてしているように、受け取れるのであるが、税理士の顧問料、調査立会い料が生産関係上の必要から損金、必要経費となりうることから推論して、税務に係る弁護士の業務の対価である報酬、訴訟費用も生産関係上必要な費用とみることもできなくもないと思われる。