[事実関係]
同族会社である不動産会社に支払った管理料につき、同族会社の行為計算否認規定を適用して行われた更正処分につき、国税不服審判所が、不動産管理会社の業務とされる定期的な業務は、別の不動産管理会社に委託されており、原告の所有する不動産管理会社に委託する理由がないこと、賃借人や第三者の窓口になっている事実がないことから賃貸不動産の管理業務を行ったと認められないと認定し、不動産所得の計算上必要経費に算入される管理料を零とするとともに、管理行為の実体がないから、同族会社の行為計算の否認規定の適用はないとした事例がある(平成18年6月13日裁決)。
[解説]
同族会社の行為計算否認規定の適用があるか否かは、先ず、当事者間に資本関係、経済関係、生産関係を土台とした所得が存在するか、法人税法上同族会社であるか。さらに、課税の根拠となる法律の定めがあるかということに基づくことなる。
第三者と異なった経済取引について、課税の根拠規定がない場合には、経済関係が存在していても、同族会社の行為計算否認規定を適用して、課税することを、国家すなわち全ての資本家を所有する資本家は、国家に与えていない。
所有された全ての資本家や資本家から労働を疎外された労働者は、課税することを法を媒介に社会に認めさせることに成功していない。
全ての資本家を所有する資本家は、課税を免れることを法を媒介に社会に認めさせることに成功している。資本経済装置である司法や行政は、自由意思の介在する余地がないから、事実認定ではなく、事実の確定を行っている。
ここでは、経済取引は、資本関係、経済関係、生産関係に基づいてせざるを得ないのであって、人の意思に基づいて行うのではないから、純経済人であったならばという前提は成立し得ない。
意思目的も問われない。意思目的は土台となる経済利益を排除して創設しうるから、意思目的を問題にすると現実の経済関係から乖離する。
司法や行政は、土台となる経済事実の確定なくして現実の経済行為の上層にある理論上、法則上、経験上、合致するか否かだけで、決定することはできないし、現象を生ぜじめさせたというだけで決定することはできない。