[事実関係]

弁護士会の役員活動に伴う懇親会費が必要経費に当たるかについて、控訴審は、原審を一部覆し、必要経費について規定した所得税法37条1項は、業務の遂行上必要であれば、業務と直接関係を持つことを求めることまでしていないと国側の主張を斥けた(東京高判平成24年9月19日)。

[解説]

経済から世論通念が形成されるまでのプロセスを見ると、経済関係を土台に、当該経済関係内の数人が結合し、各経済団体間に経済関係が形成され、各経済団体の総和が社会となり、政治を行わせ、世論が形成させる。

経済政治全ての団体内には、土台となる経済関係が存在し、経済の上層に政治思想が形成されるから、同業者団体が単なる懇親会であるというのは方便である。

資本家が、政治家に献金をすることによって、政治家は、献金を支出した資本家との間にある資本関係に基づいて、法創造、改廃をせざるを得ない。

政治献金は、資本家が、労働者を搾取したり、反対給付なしに一方的に経済利益を利得し、現実の事実関係の全ての認定と問題提起を封じ、経済利益を法を媒介に認めさせるプロセスである。

企業の資本家や事業主が行う政治献金は、政治家に投資することである。資本家との資本関係、経済関係から献金支出せざるを得なくなった各経済団体政治団体の役員の利権など餓鬼の駄賃であって、最も利益を得るのは大資本家である。

労働者には労働者の、女性には女性の、子供には子供の、自由意思の介在しない、資本関係生産関係を基にした、生存の土台となる経済がある。

資本家や事業主が政治献金をすることを認めることは、思想信条に基づき経済政治が行われ、人民が経済政治に参加しえなくすることである。資本家や事業主の内部留保は、労働者への未払賃金から構成されている。

資本家や事業主は、それを支払う義務がある。人民が経済や政治に参加することを認める義務があるのである。資本関係、経済関係からみれば支出せざるを得ない金銭であっても、役員なならなくとも当該金銭を支出しなくとも事業が行い得る以上は、経済関係を土台にした事業に必要な経費であるということはできないのである。