収益の計上を早めさせ、費用の計上を債務の確定まで遅らせ、計算上蓄積された内部留保に基づき投資家への配当や金融資本家への利子を支払わざるを得なくさせる。経営者は、産業資本家に財務諸表を公開せざるを得ず、産業資本家は、金融資本家に公開せざるを得ず、金融資本家は絶えず財務諸表上の経済関係生産関係資本関係を現実の生産関係経済関係資本関係と併せて監視していて、産業資本家に現実の内部留保が計算上の内部留保に満たなければ、戦争のような資本家にとって利子配当及びその原資といったリターンの大きいものに投資させ、資本家所有の労働者、取引先労働者の労賃搾取や福祉のような資本家にとって投資に相応するリターンのない支出を抑制することをせざるを得なくさせる。金融資本家との関係から、産業資本家に生活保護を削ることをせざるを得なくさせる。会計は、資本家の利益を最大にすることに貢献している。会計は、資本経済を促進する仕組み、すなわち装置として存在していると言えるであろう。現実の資本の増殖、減少を現象面のみから捉え、資本家の方便たる目的に近付く過程の土台、装置となっている。資本の増減は、労働を疎外して価格決定することや商品価格を計算する簿記によって調整される。生産による資本の増減、価格増殖による資本の増殖においては、商品は価値を付与されただけで、実体のない価値を、現金商品と交換することにより手にした現金に価値属性を付与することを前提にして商品の価値を確定させたに過ぎない、実体のない観念の中で付与された価値である。