[事実関係]

ガソリンスタンドを営む法人が県から移転補償金等の名義で取得した補助金について、租税特別法64条の2を適用して収用換地等の場合の所得の特別控除を申請したところ、原処分庁は、補償金の対象となった建物は、事業用地として買い取られた土地の上にある資産ではないとして申請の適用を否認して更正処分を行ったことにつき、

裁決は、租税特別措置法64条2項2号が規定する「その土地の上にある資産」は、正に収用されることとなる土地の上にある資産のことをいい、請求人が所得した物件等移転補償金は、買い取られた事業に使用していた土地の地域外に存する資産について補償したものであり、収用される土地について補償されたものではないから、収用換地等の場合の所得の特別控除の対象となる補償金に該当しないとして請求人の主張を斥けている事例がある(平成21年5月25日裁決)。

[解説]

裁決は、特別控除について、資産が土地収用法上の規定に基づいて、強制的に収用された場合又は強制権(収用権)を背景に任意の契約により買い取られた場合の補償金又は対価を前提とするが、国家所有の資本家との経済関係から、収用される側に当該固定資産を引き渡す引き渡さないに自由意思は介在しない。

収用されることにより、収用された産業資本家が経済的に損失を被っても、全ての資本家の集まりである国家を所有する資本家との資本関係より、税金投入せざるをえなくさせられたり、すなわち他の全ての資本家に投資させ、国家を所有する金融資本家からの借入に応じさせ、又は、国家を所有する金融資本家に投融資されたりして、収用された資本家の生存の土台となる経済は維持される。

投融資を土台とした利息、配当により国家を所有する金融資本家は内部留保を蓄積する。前者の場合、利息配当が先取りされて税金が投入される。収用された資本家に所有されている労働者は搾取されるのである。

金融資本家は、他の金融資本関係に自らの所有する紙幣発行銀行、資本関係を買収され、投融資を受けざるを得ない限り、産業資本家として土地や生産手段に縛られることはしない。すなわち自由意思で産業資本家となることをしないから、土地の上にある建物を買い取って事業を引き継ぐということはしない。

国家を所有する資本家は、収用された土地の上にあるか否かに関係なく、対価補償金、移転補償金は、建物を買取価格を含むとはしないのである。