[事実関係]
事案は下記のとおりである。原告納税者は、平成17年4月1日から18年3月31日までの事業年度において、当該事業年度の中途の1月27日の取締役会で外国子会社に追加出資をすることを決定し、同年2月に増資払込を行い、およそ増資後一ヶ月経過した18年3月31日に子会社株式に係る評価損を計上した。課税庁は、増資後相当期間経過していないことをとらえて業績回復が見込まれないとはいえないとして更正処分を行った。裁決は、事業年度末日現在の子会社の業績だけでなく、事業年度末時点で既に実行されている事業計画を重視して原処分庁の処分を維持している(平成21年4月2日裁決)。
[解説]
追加で投資を行って子会社の労働者を搾取し内部留保を獲得しうる経済関係を創造したわけであるから、その経済関係に鑑みれば、子会社株式に価値が低下したとの属性を与えることはできないであろう。原告側は、リース支払に係るつなぎ資金の融資で、金融資本家からの強制により出資という方法を採らざるを得なかったという答弁は、攻め方としては、上手に見えるが、親会社と子会社労働者との経済関係も存続するという関係を鑑みれば、原告の主張する、リース料支払に係る、つなぎ出資でしかないというのは方便ということになるであろう。