日本法人スズキのインドの子会社マルチスズキのマネサール工場で暴動放火事件があった。資本家であろうと、労働者であろうと、全ての人間について言えることであるが、いかなる理由があっても、全ての人間の生命身体、その基盤である経済に暴行を加え、奪う行為は許されるものではない。資本家、労働者による暴力による解決、資本家による労使間交渉の封鎖は、経済関係の事実関係の全体化、問題提起の全体化を妨げるものである。事件の基となったのは、解雇された使用人の復職をめぐる協議に経営側が応じなかったことである。

労使間のトラブルの基礎は、正社員、契約社員の低賃金労働である。低賃金労働をさせることによる日本の資本家、欧米の資本家の内部留保の拡大である。インドの他の労働者よりも高賃金であってとしても、インドの賃金水準が向上してきたとしても、日本の正社員、管理職の賃金水準に比べれば遥かに低いのである。ディズニー、マクドナルド、ナイキ、アディダス、無印による児童労働による搾取、ユニクロの中国における長時間労働による搾取があったとされる報道も見られ、海外における搾取の構造が数多く見られる。労働者は、労働組合を作って賃金をめぐる労使交渉を資本家側が封鎖したことにより、話し合う関係すら無くなってしまったのである。搾取することなく労働の対価の水準を上げ、長時間労働による搾取の廃止、児童労働による搾取の廃止を行い、労使の協議の場を設け、今回のような事件が繰り返されてはならないのである。

日本企業の内部留保の蓄積を牽制し、国際金融資本の貸出のフィクションに、このデモがメディアを使用して利用され、貢献させられ、労働の疎外が強化されると見られるので注意が必要だ。