[事実関係]

清算手続中にある関連会社に増資を行い、関係会社が清算結了後に投資損失を計上した法人が子会社整理再建の場合の損失負担に該当しないとして同族会社行為計算否認規定を適用してその損金算入が否認された事例がある。解散前から資金関係はなく清算中にある法人に対してして増資が必要であるとはいえないこと、純経済人として不自然不合理な行為であるとし、原処分を維持する裁決がある(2009.9.16)。

[解説]

処分庁、不服審判所は、経済関係上の事実関係に基づいて問題提起をして、寄附金に該当するとしたわけであるから、純経済人だとか、不自然であるとかの属性論、唯心論、同族会社の行為計算否認規定という唯心論的規定を持ち出す必要があったかという問題がある。 同族会社は、経済関係を土台に設立存続されるが、清算途中の法人に投融資を行って親会社の資本家が利息や配当という方便で労働者からの搾取を継続するということは閨閥は形成されている場合も多いのであるが、非同族という属性を与えられた大法人の資本家間で行われていることである。これでは、事実認定、問題提起の全体化がなさたかどうかの疑いが持たれうるであろう。投資した法人の側も清算予定の関係会社の役員使用人の退職金支払債務という生産関係上の義務が清算法人にあるから当該金銭を支出したという理由を主張する必要があるのに、信用失墜だとかの唯心論を持ち出すから寄附金認定を受けるのである。