1976年に廃止された租税調整法において定められていた経済観察法については、法的安定が害される、恣意的課税が横行するとの批判がされることがある。法的安定が維持できるということは、経済関係の勝者が自らの経済関係に基づいて、他者の経済関係を疎外し、権利を創造し、法を定め、それを社会に認めさせるという構造に鑑みれば、資本家有利の経済関係が永続化するということである。課税庁の恣意的課税が横行しうるという主張は、それは逆である。経済関係に即して解釈するということは、土台となる経済関係を全体化して、問題提起の全体化を行うことを義務づけることによって、課税庁の目的論的課税、恣意的課税を封じることができるのである。法的安定性に固執することによって、恣意的課税が横行しうるのである。