昭和29年の第19回国会において、法人の自己資本増強の施策として、資産再評価の実施、増資配当の免税、積立金に対する法人税課税の廃止、価格変動準備金の積立金の増額等の施策と共に冗費節約、資本充実策の一環として租税特別措置法の中に規定され、現在も残されている。
交際費は、事業上必ずしも必要なものとは言えず、且つ事業に関係のあるものではないから、経済関係という点からではなく、その上層の政策として特別に一定限度損金とすることを認めるとするものである。交際費課税の立法の経緯の中で、内部留保を蓄積することから交際費課税をするに至ったと説明されることがある。大法人は国際金融資本の投融資によるものだからである。内部留保を蓄積するといっても、賃金を絞って内部留保を蓄積するといっていない分、現象面からみれば、まともなことを言っているように見える。
しかし、利潤の土台は、当該法人内外の労働を疎外しているからであり、現実には賃金を絞っているのである。
現実には、交際費と称して資本が投下した金を消費することなく、疎外労働をさせて国際金融資本の資本増殖に貢献しろということである。大企業の資本であれば支出できる広告宣伝費が無税であり、資本の規模を問わず取引先に対してせざるをえない接待があったとしても、会社資本がそれを負担せず、使用人の自腹でそれを行わせているという関係があるから、交際費の損金算入がゼロであったとしても、大企業の資本には有利な課税であり、且つ、自腹を切らせるという搾取の方法により内部留保の蓄積が可能なものとなっているのである。