前事業年度において、役員貸付金に対する利息を、決算書においては計上せず、申告書上で、受取利息計上洩れとして加算したとする。資本家は、搾取の源泉である現金を取得する権利を獲得し、現金の返還不要が確定したから加算・留保である。
当該事業年度においては、現実に現金で当該利息を収受した時には、前事業年度の確定した決算書には、未収入金、受取利息の計上がないから、現実には未収入金の収受であっても、(借)現金 (貸)受取利息という仕訳が行われる。
しかし、当該利息という方便による役務提供の搾取は前期の収益であって、当期の収益ではないにもかかわらず、この段階では、法人の所得計算上、受取利息が前期と当期と二重に計上されていることになるから、当期の決算書上で、(借)未収入金(貸)受取利息、(借)受取利息(貸)未収入金という二本の仕訳を入れて当期の税務所得を算定する必要がある。
しかし、前期決算は確定し、当期に入り金銭消費貸借契約に変更がなければ、前期損益修正仕訳を決算書で行うのではなく、申告調整によって、前述の二本の仕訳を入れた場合の所得計算と同じことを行うこととなる。よって、当期の申告書上で、受取利息を減算し、未収入金という債権の弁済を受けただけで、そのことに関しては現金そのものの流出はないから、留保である。