改正国税通則法は、所得税、法人税及び消費税をはじめとする国税の質問検査について、実地調査を開始する日時、場所、調査の目的(理由ではない)、対象税目、調査対象期間、調査対象となる帳簿書類その他物件その他必要な事項については、原則として、事前通知がされるとする(国税通則法74の9)。しかし、調査の目的を開示するということは、課税のための方便を開示することであって、課税関係上の事実の全体化に基づいて問題提起をして調査の原因となった事実関係とそれに係る全ての問題点は開示されないということになる。納税者は、土台となる事実関係、問題提起をせずに、方便を述べ、事前通知で述べた目的と異なる関係の理由が初めて実地調査の場で知らされるのである。理由の差し替えと同じく、課税庁の土台となる経済関係に基づかない唯心論課税、恣意課税がなされうるのである。