原告及び被告と裁判官の関係は、現実には、ブルジョアからの命令を受けてブルジョア体制を維持させる技師である裁判官による一方的な権力行使の関係が存在する。したがって、判決理由を書いて目的や効果といった唯心論に基づくことなく、恣意を抑制して、土台となる経済関係社会関係上の事実関係、これらについての問題提起を全体化し、仮説と推論を行って法の解釈適用を行い義務がある。しかし、判決理由は、あくまで当該事例について、社会にその論理を認めさせることに成功したにすぎないから、先例としてその後の現象面からみれば類似しているような事件につき拘束することはできない。現象面からすると同じに見えても、土台となる経済関係社会関係の中に一つでも異なる事実があれば当該判決理由にいう論理は適用できない。判決の決め手となった事実を抽出したり、争点を二項対立して、他の問題点を廃棄するような態度はやめる必要がある。