創設規定は、新しい法律関係を創設する規定であって、税法の大部分はこの創設規定であるとされる(伊藤義一・税法の読み方、判例の見方50頁)。
「これに対し、確認規定とは、既存の法律又は法理により既に設定されている法律関係について、念のため確認的に規定するものであり、解釈上の疑義を防止しようとするものである。」とした上で、「具体的には、例えば、所得税法12条の「実質課税の原則に関する規定は、税法には租税正義の立場からまず、実質課税という基本原則があり、それを確認的に規定したものであると解されている。仮に、租税法律主義の立場からこの規定が創設規定であれば、「所得者」については実質的な所得者かに課税することができるが、「所得」そのものについては実質的に把握して課税することができないことになる」とする(同50頁)。
創設規定とは、経済関係社会関係の上に、新しい法律関係を創設する規定である。これに対し、確認規定とは、既存の法律により設定されている法律関係について、再度繰り返し規定したものであると言えるであろう。
確認規定は、立法過程において経済上の事実関係を全体化し尽すことがなされず、解釈上疑義があって、その適用に際し、頻繁に問題提起がなされ、問題提起がなされうるという事実関係を原因に制定された法規であると言えるであろう。法の趣旨との交渉により導きだされたものではなく、経済上の事実関係の全体化がなされたことを土台として、置かざるを得なかった規定であろう。確認されたものには原則や現象にすぎない、実体のない観念である法理は含まれないであろう。
所得に課税できるか否かは、ブルジョアによってフィクションされた経済関係による所産である、実体化の手段である租税法律主義の観点からではなく、取引や課税の目的という観念と交渉することなく、ありのままの経済上の事実関係の形成過程に基づいて規定されるものであり、法の規定があって実体化されるものであるから、前述の所得税法12条は、創設規定ということになるであろう。