帳簿の記載事実自体を否定して更正処分を行う場合と帳簿記載事実自体は否定せずに法解釈の相違により更正する場合とでは、更正処分通知書に記載する理由の程度に差異があるとする主張があるが、法解釈の相違により更正処分を行う場合であっても、経済関係という土台なくして法解釈などできるわけがなく、原因となる経済関係上の事実の記載がなく行政庁の解釈がいきなり書いてあるのでは、納税者は、いかなる事実があって当該解釈を採るのか知ることができないし、処分が経済関係上更に実体上正鵠を得たものなのか、問題の立て方、事実関係の全体化を尽くしたのか疑いがありうるのである。よって法解釈の相違に基づく更正の場合であっても、帳簿の記載事実を否定して更正する場合に比べ、理由附記の程度を後退させる根拠とはなりえない。過大退職金の判定、移転価格税制における独立企業間価格の判定等推定課税による更正処分の際には、問題提起から事実認定、法解釈までの全てにわたって記載されることが求められるのである。