固定資産は、法人が所有する生産用具、生産手段である。資産構成の内、固定資産の占める割合が高い法人は、事業そのものに投資して経済発展、消費者の利便に貢献しているかのように見える。
しかし、役員を除いた使用人一人当たりの人件費の金額が低ければ、労働時間が長ければ、研修費の金額が低ければ、使用人の賃金を搾取して低価格で販売し、売上及び利益を実現していることであり、休養が不十分かつ衣食住だけで精一杯で商品や役務に関する勉強に費やすことに回すだけの金銭を受給していないから、消費者は、商品や役務に係る便益を享受できていないことが考えられる。
大企業の資本が労働者に言わせている、急速に経済発展してきた国や日本国内の中小企業が力をつけてきて大企業と同水準の利便を消費者に与える製品を作ることができるようになったから賃金を下げないとやっていけないというのは詭弁である。
1つの比率だけを見てその法人の経済関係を分析するのではなく、他の比率、定性要因をはじめ全ての面から分析することが必要となる。
フィクションされた資本関係を源泉に、労働者は、ゴーイングコンサーンを実践させられ、労働に評される価値を決め、それを疎外して固定資産に転嫁し、未払の労働の評価に減価償却の方便を付して、減価償却につき、その上で財務諸表上で公開する評価を決めるのである。
評価とは、オンライン上の架空の紙切れと引換えて紙切れに価値を付与していく作業である。紙切れには予め価値は備わっていない。紙切れは物差しでないことに注意しなければならない。
設備が古くなれば未払労働債務の累積額が膨らみ、労働力により稼働が進行させられたところと引き換えられる労働者が稼働する商品に少ない時間が付されているものは、未払の人件費の評価(≠疎外された労働の評価の総量)である減価償却累計額は膨らんでいない 。
減価償却累計額が膨らむに応じ、現金留保がフィクションされる。
それによる現金留保をフィクションされた借入の返済に充当させられ、再度借入がフィクションされ、設備投資をして労働力に貸付け、研究開発という疎外労働をさせるのである。
借方の有形固定資産の額だけを見て資産構成を分析すると現実の利潤増殖の過程を見誤る。
部品組立と塗装だけをして、部品製造は連結対象外の関係会社が行っている法人は、財務諸表上の設備投資の額は少ない。
有形固定資産回転率=売上高/有形固定資産
有形固定資産回転率が高いと設備の利用効率が高いと言われることがある。
固定資産回転率につき、技術革新による固定資産を購入することにより効率よく操業されていることを挙げる(Gerald White)。
ここでも、固定資産が利潤を産み出すのではないことに注意しなければならない。
固定資産のが労働力により稼働させられることにより、労働に付される単価が下がり、労働が疎外されることにより、商品に転嫁されることにより、少ない設備投資の評価により(これも労働の疎外であるが)、労働力の単価が下がり、より多くの売上、利益率は上がるということである。そして競争が疎外労働の手段、後付の方便にされるのである。
有形固定資産回転率は、土地の簿価が低ければ、高くなる。
国際会計基準(といってもデラウェアの会計事務所が作成させられたものだが)により、国際金融資本はその適用を義務付け、市場価値により再評価をした場合にはそれを認めるとし、イギリスの会計基準では、土地を市場価額で評価した場合に評価損益を「認識損失利得計算書」に計上することとされ、日本でも1998年に建前上はその適用は任意であるが、土地の再評価に関する法律が制定された。
ここでも、土地が利潤を産み出すのではないことに注意しなければならない。
労働が疎外されて疎外された労働の評価が商品、架空資本、固定資本、土地の評価に転嫁されるということである。
担保物件にして借入をしないと資金繰りが苦しくなり労働力を再生産ができないとされ、疎外労働の方便にされ、疎外労働が強化される。
土地の再評価は、疎外労働の強化、労働力の安売り競争の方便にされ、道具にされるのである。