損益分岐点とは、費用について変動費と固定費に分類し、粗利率すなわち1-変動費率(変動費÷売上高)と固定費が等しくなる純売上高を損益分岐点売上と言っている。

固定費は、人件費+減価償却費+支払利息-受取利息+研究開発費+広告宣伝費+支払賃借料-受取賃借料+その他の固定費で表される。

固定費については、下記のことに注意しなければならない。

人件費は、労働力商品と交換された商品の評価である。労働の評価が疎外されているが故に固定費となり、それで労働力の再生産を余儀なくされている。

減価償却費は、疎外された労働の評価が転嫁されたものである。

利息、賃借料は、労働の疎外を土台とした利潤の分配である。

固定費には、税務上損金の額に算入されない旅行費用、自動車の購入代が含まれることがある。

変動費の例には、仕入高、外注加工費、残業代、歩合給、販促費がある。

変動費については下記のことに注意しなければならない。

コストは、労働を疎外して製品商品の単位原価の計算に繰り入れた場合、製造間接費は、棚卸資産に計上され、出荷するまで費用にはならない。製造原価に計上される費用を販売管理費として計上し、単位原価の計算に含めないことがある。その結果、単位原価も下げられることになり、期末棚卸資産の額を低く抑えて課税所得を抑えていることがある。

他勘定振替高が原材料費を膨らませること(関係会社等に購入した原材料を有償支給して、それを再購入して原材料費を二重に計上した上で、関係会社に有償支給した分を他勘定振替高として原材料費から控除している)があるので、その場合には原材料費から、他勘定振替高×(1-労務費・経費/総製造費用)を控除する。

他勘定振替高は、労務費、経費を他勘定に振替える際にも使用されるので、他勘定振替高×(1-労務費・経費/総製造費用)を原材料費から控除するとされている。原材料費から他勘定振替高勘定を使用して他勘定に振替えられた金額には、疎外された労働の評価も含まれている。

損益分析点売上高=貢献利益/限界利益率(1-変動費率)。

損益分岐点を決定する要因は、固定資産をはじめとする生産手段を使用して労働力商品、労働時間を上回る価値を持った商品を作れるかであるとか、不況、好況によるものではない。金融資本家や産業資本家の心理によって規定されるものではない。

商品に価値という属性は備わっていない。産業資本家は、金融資本家との資本関係から、労働者は、金融資本家、産業資本家との生産関係から、原材料、商品、役務、労働力を収益が実現してから安く支払い、消費者や取引先が必要としていないものに、疎外した労働の価値を転嫁した価値という属性を与えて高く買わせ、内部留保を蓄積ざるをえないのである。

不況、好況も現象や方便にすぎず、源泉は、金融資本家と産業資本家、金融資本家間、産業資本家間、金融、産業資本家と労働者との資本関係、経済関係、生産関係であり、土台は労働の疎外である。

資本関係を源泉に、経済関係、生産関係を土台に、発行、流通する貨幣の量、物価、換算レートが決められる。損益分岐点は、産業資本と金融資本、金融資本間の関係、産業資本間の金融、産業資本家と労働者との生産関係によって規定される。

損益分岐点比率(損益分岐点売上÷純売上高)は、それが低ければ低いほど、不況に対する抵抗力が強いであるとか、財務成績の安全度が高い、財務成績に余裕があるであるとか説明される。

固定費である販売管理費給与を下げれば損益分岐点売上が下がる。

原材料供給先労働者、外注先労働者、製造に従事する使用人の労賃を下げれば損益分駅点が下がる。

派遣に切り替えたり、リストラを行えば損益分岐点は下がる。

固定資産への投資をやめて、株式、公社債への投資を行って、他の経済実体の労働者に貸し付けて、戦争を行わせれば、疎外された労働の価値である減価償却費の計上が抑えられ、損益分岐点が下がる。

損益分岐点比率は、労働者からの搾取度合いを示す。すなわち、損益分岐点比率が低いほど、搾取度合いが高いということができる。