高額役員報酬に係る最高税率区分の新設や相続税の最高税率の引上げについては、経済活力を後退させるという方便を主張する者がいるが、賃金を絞られ資産を持たないものにとっては生存すら危ないのである。資本家は、経営者や政治家を媒介に労働者の賃金を絞ったり、税制上の抜け道を利用したり税制上の補助金を受け取り内部留保を拡大させ、資産形成を行ってきた。このようなプロセスによって取り損ねた、いわゆる課税漏れを、相続税という税目を作り課税を行ってきた。相続税を軽くすれば、喧嘩の強い家に生まれた子供に財産承継を容易にし、階級が固定化されるのである。また、内部留保拡大の命令から家からの離脱も許されなくなるのだ。オーナー企業も子供に高額の役員報酬を支払うという形で、財産の承継を行うということが世界各国で行われれてきたのであり、高額の役員報酬に係る税率を高くしない措置や給与所得控除の割合を高くする措置は、同様に、階級の固定化、階級からの離脱を許さないといった現実を促進するのである。