収用は、金融ブルジョアが産業ブルジョアをして、その技師たる国家機構等を媒介に、収用される側の自由意思の介在なく、生活手段である事業所、住居等を略奪する行為である。したがって、生活手段を略奪されたことによる補償金にまで課税されるのでは、生命を維持して、労働力を提供したり、財、役務を引き渡すことができなくなり、産業ブルジョアは、労働者や零細事業者等から搾取し、金融資本に利潤を分配することができなくなってしまう。補償金は、疎外された労働の評価の一部が返還されたものであるが、国際金融資本は、貸付けをフィクションしているのである。

したがって、法人税法は、対価補償金並びに経費補償金と収用された土地等の簿価との差益について、減価償却資産の取得についてのみ言えば、減税の実現が早いだけでトータルの減税額が法定耐用年数表による償却を行った場合と同一である圧縮記帳の他に左記の減税額プラス税の減免が受けられうる収用の特別控除暦年5,000万円という制度を設置している。

しかし、収用される側が、大企業や内部留保の厚いオーナー企業で、代替資産等を取得し、労働をさせて利潤を産み出させ、搾取し金融資本に分配することなく、補償金を内部留保を蓄積するだけで、その上、税額控除を無制限に行うとなると、ブルジョアの内部留保拡大に貢献・協力したことによる補助金を彼等に支給することとなり、株式の持ち合いとそれに係る税制を彷彿させる構造を有することとなってしまう。

そこで、特別控除の限度枠を設け、それを超える部分については、国債を負担させることの基礎にしている。