申告期限の延長を行った場合、従来の申告期限(事業年度終了の日の翌日から2か月以内)から、延長申請したことによる提出期限(事業年度終了の日から3か月以内)までの間に係る利子税が課税される。確定申告時に予想される所得金額とそれに対する税額の近似値を延長申請によって認められた申告期限前に見込み納付すれば、利子税の負担はそれほど大きくならない(手続きは納付書に見込納付金額を書いて金融機関で納付するだけ。)。

また、この利子税は、税務署が税法により認めた申告期限であるから、申告書を提出した日を含む事業年度の損金となる。また、翌事業年度の予算計画に余裕があれば、確定申告時に予想される税額よりも、多く見込納付をして、確定申告時に還付を受けても差し支えない。還付を受けるとなると、更正の請求を行って、更正の請求を行ったことによる税務調査を受けるのではないかと危惧する納税者がいるが、見込納付時には、未だ確定申告を行っておらず、事業年度終了の翌日から3か月以内にした確定申告が当初申告であるから、更正の請求云々の問題は生じえない。

見込納付時には、申告書を提出していいないのであるから、税務署は、納税者に係る経済関係を知悉していないのであるから、どのような過程を経て所得そして見込納付税額が算定されたのか、見込税額から確定税額に至った過程を思考することができないのである。このことから、例えば、見込納付と確定税額の差額を支払う場合においても修正申告云々の問題は生じえない。

また、申告期限の延長申請をしたことによって、利益操作を行っているものと推論され、税務調査が来るのではと危惧する納税者もいるが、延長申請を行った時点や見込納付の時点では、確定申告書を税務署は見ておらず、見込納付の金額は、確定所得に係る税額とは必ずしも一致しない、経済上、正確であるとの根拠のない数字である。納税者の所得金額、確定税額の前提となる経済関係は提示されていないのであるから、経済関係を離れて、確定申告までに利益操作がなされたか否かを推論することは困難である。税務署は、申告期限の延長あるなしにかかわらず、提出された確定申告書の数値を見てはじめて利益操作云々を推測するのである。