絵画や古美術品には、そもそも価値など備わっていない。いわゆる書画骨董と呼ばれているものは、ブルジョアがそれに価値を与え、与えた価値を社会に認めさせることに成功したにすぎない。認めさせる手段(媒介)の例が美術年鑑であって、税務上は、美術年鑑等に登載されていれば、書画骨董に該当することとしている。絵画や古美術品の作者が美術年鑑に登載されていなかったり、書画骨董に該当するか否か明らかでない場合には、(1)その資産の取得価額が10万円未満のものについては、これを減価償却資産として取り扱う。(2)その資産が絵画の場合には、これを減価償却資産として取り扱うとされている。減価償却資産として取り扱う場合には、これに適用する耐用年数は、金属製のものについては、10年、その他のものについては、5年とされている。書画骨董は、それを源泉にした経済利得を法律上の権利とするプロセスではないから、繰延資産、無形資産ということにはならないであろう。