信用金庫等に対して出資金を払い込んだが、当該信用金庫が倒産してしまったのだが、当該出資金額を損失として落とせるか。一口に倒産といっても、法律上解散しただけでは、民事再生法上の開始手続申立てに相当すると言われ、法律上当該法人等は存続しているわけであるから、損失として落とすことはできず、帳簿価額を据え置くこととなる。法律上、清算することによって初めて法律上も消滅したと言えるのであって(民事再生法上の開始決定に当たる)、当該法人等が清算することによってはじめて、損金計上ができるのである。中小企業の経営者は、取引先企業や金融機関が業績不振により閉店(単に経済上事実上消滅しただけで、法律上はれっきとして生きていいる)しただけで倒産したと口にするし、閉店も解散も清算もひとくくりに倒産と言っているから、注意が必要である。決算を組む経理担当者や会計事務所の職員等の中には、倒産と聞くや否や貸倒損失に計上したがるが、倒産といっても、法律上は様々な段階があるのである。税法上は、事実上の倒産、解散、清算と全てその取扱いは異なる。相手先企業金融機関が法律上どの段階にあるのかについて調査しながら処理しないと誤りを犯すこととなる。