法人が所有しているゴルフ会員権の運営会社が、民事再生法上の再生計画に係る決定を受け、別会社に営業譲渡されりこととなった場合で、旧ゴルフ会員権の預託金部分は、わずかな配当があったのみで、ほとんど全額切捨てられ、旧会員には、新運営会社の会員権が交付された。なお、旧会員権の取得価額は、預託金+労働力商品を購入せずに労働の疎外を土台としたプレミア分で構成されている。

預託金部分については、労働に付された価値の疎外を土台としたゴルフ場という商品を使用する権利をも前払いで購入し、権利の引渡しという労働の完了を受ける前に、前払いした現金に価値が付されたことであり、優先的利用権があるなしにかかわらず、退会届の存在がなくても、その返還請求権として顕在化(実体化)するしないを論じる以前に、また、新会員権が旧会員権を売買又は交換することによって取得した場合に該当することにより、契約関係が継続しているとみなされず、譲渡損失に該当する場合であっても、契約内容等の変更等により、預託金部分については、部分切捨てであろうと全額切捨てであろうと、切捨てられることとなった金額は貸倒損失として認められる。そして、新たに交付された会員権の売買実例等市場価額がゼロに等しいような場合であっても、旧会員権のプレミア分と新会員権の市場価額との差額は、会計上と異なり、税務上は、会員権の譲渡に該当しようが、貸倒れに該当しようが、労働の疎外を土台にして利潤を得ているから、実際に売却して、損失を実現しない限りは、損金に算入することができない。税務と会計の乖離の一例である。