法人税の取扱いには、購入した棚卸資産の取得価額(これを更に分解すると、当期の売上原価+期末棚卸資産)に係る諸費用の内、下記の費用については、当該棚卸資産の購入代価の概ね3%以内の金額は、その取得価額に算入しないことができるとするものがある(法基通5-1-1)。(1)買入事務、検収、整理、選別、手入れ等に要した費用の額、(2)販売所等から販売所等へ移管するために要した運賃、荷造費等の費用の額、(3)特別の時期に販売するなどのため、長期にわたって保管するために要した費用。運賃勘定については、その期間損益に係るものと何ら検討を加えずに無条件に損金経理を認めてしまいがちであるが、棚卸資産の運搬に係るものは注意が必要である。運賃といっても、製造会社から販売会社の倉庫までの運賃、販売会社の倉庫から販売会社の販売所、販売所から卸売先若しくは小売先又は最終消費者までの運賃、と3段階に分けることができ、前2者については、期末までに売上先に向けて出荷していなければ期末棚卸であり、三番目についても出荷の実体があって、引渡基準でなく出荷基準によって、売上が建っているか確認が必要となる。(3)の長期保管費用については、例えば、春物大売出しセールに出品されることとなるもの、長期デッドストック、、流行遅れ等陳腐化して通常の値段で売れないものなどを保管している場合の倉庫代や保管に係る保険料などがそれに該当するであろう。