期末棚卸資産を算定する際に忘れてはならないのが、未着品の存在である。例えば、電気工事業を営む法人が、工事完成引渡しの予定日が事業年度末日、納品予定日を事業年度末の3日前として、クーラーを注文したとする。しかし、期末現在、未だ当社に納品されることなく、先に納品予定日と同じ日付の入った納品請求書だけが届いたとする。工事は翌期に入って行なわれた。当社の経理部員が、社内マニュアルに基づいて、当該クーラーについて、請求書の日付を基に、当期の仕入原価に算入したとする。期末に実地棚卸をしても社内にクーラーがないので経理部は誰も在庫計上漏れに気付かない。期末現在仕掛途中の工事現場、つまり期を跨る工事の工事現場に置いてある預け在庫同様、期末現在の未着品も期末棚卸資産なのである。納品の事実を確認せずに請求書でけで経理処理をしているとこのような誤りが生じうるのである。