会計上の繰延資産も、税務上の繰延資産も、税務や会計の教科書を見ると、支出の効果云々強調されているので、当該支出があった時点で、計上すればよいと考えている人が多い。
しかし、会計上も税務上も、支出の相手方より役務の提供を受けた段階が、その計上の段階となるのである。
したがって、例えば、ホームページの作成を作成業者に依頼して前金として申込金を支払っただけでは、当該支出は、繰延資産とはいえず、前払費用又は前払金にすぎず、他の業者より顧客名簿、ノウハウについて譲受けることについて、相手業者の口座に対価を払い込んだだけで、未だ、現実に顧客名簿の引渡しやノウハウの提供を受けていなければ、これも開業費(場合によっては無形資産ーこれも役務提供完了がその計上段階)とは言えず、前払費用又は前払金であるにすぎない。
生産手段にして貸与して労働を疎外することができるようになっていなければ、資本関係が既にあれば現金留保の源泉とはなっても、そうでなければ現金留保を産む土台とはならないのである。
経済土台なく支出しただけでは、支出した事実が社会に浸透し経済事実が生ずることはない。資本関係があって現金を貸与するか既に経済関係があるか資産役務を現金商品と引き換えに取得して生産手段にして貸与しなければ、支出しただけで現金が湧き出ることはない。
現金留保は偶発しないのである。支払時に償却費として、全額計上するにしろ、耐用年数省令により一部計上するにしろ、計上すると税務上の所得の計算に誤りが生じてしまうのである。
税法は、既に確定した事実である所得に対して課税する。既存の事実関係から問題を立て、事業上必要である支出か否か、必要であればいかほど必要かを推論し確定することによって支出するのが、費用であって、未だ実現しうるか否か確定しないことに対し、既存の事実関係を把握せず、何等問題提起や推論をを行わず、支出原因や根拠なくして将来のみを見て何等かの効果のみを期待して事前に支出する費用は、経済的関係から離れた前払費用であって、仮払金であって、又は、役員賞与に該当しうる。費用どころか資産にもなりえないものもある。
目的論に基づいて資産、費用等について論じることは、税務署の質問検査等に対する回答になっていないのである。

